short (ss)
君にyell @ (リクエスト)
りあ様より、リクエストをいただきました(^o^)
『一部サスケのところに現れた、未来サスケ。(サスサク前提)』
というお題で書かせていただきました。
未来サスケは、18〜20歳位かな。
*****
オレは自分の目を疑った。
目の前に現れたのは、兄より年上で、酷似した青年。
一瞬、イタチかと思った。
思わず兄の名を呼ぼうとして、踏みとどまった。
「………なんで」
何故、兄がここにいるのか?
いや、イタチであるはずがない…。
彼は随分前に、目の前から、里から去ったはずだ。
そんな押し問答が、意味も無く頭の中をぐるぐると廻る。
それよりも、……いや、むしろ、自分と瓜二つではないか。
しかも、木の葉の額当てに上忍のベストという出で立ち。
一体誰なのか?
「…お前は…」
「…ったく、何でよりによって…」
目の前の男は、忌々しげに舌打ちをすると、初めてオレの方を見た。
兄によく似たその漆黒の瞳をすぅっと細める。
そして、再び口を開いた。
「……ひよっこが」
『 君にyell 』
この男は、間違いなくイタチではない。
このうさんくさい男は、面倒そうにどっかりと腰を下ろす。
こいつのワケの分からない説明によると、南賀野神社にて時空の歪みに巻き込まれたとか何とか。
「納得出来ないなら別にいい。オレだって信じられないからな」
そしてこの、殴りたくなるような上から目線の口調。
大体、そんなことがある訳ないだろう。
そのまま7班で合流したところ、連中は一目みてオレだと勘違いした。
わざわざ変化の術なんて使うかバカ。
「どーもよくわからないけど…、『未来のサスケ』ってことでいいのかな?」
カカシの言葉に、後の2人は「ふんふん」と納得し、早くも順応している。
おいおい、その反応はおかしいだろう…。
「…まあそんなところだ。…カカシ、オレの知ってるアンタは30超えているが、今とそう変わらないな」
「ちょ…、それってどういうこと?老けてるってこと?それとも30超えても若いってこと?」
引きつるカカシの言葉は完全に無視して周囲を観察している。
「ま、こう生意気だと、サスケと認めざるをえないでしょ…」とぼやくカカシに対し、眉をしかめる。
どういう認め方だよ、つか認めんなよ。
「ねえ!!大人になったサスケくんて、やっぱり超優秀なエリート?活躍してるんでしょう?」
「さ、サクラちゃん!?」
サクラが満面の笑みを浮かべ、若干赤面しながら、この得体の知れぬ男に近づき、見上げる。
あまりにも無防備なサクラに、隣でナルトが慌てた声を上げる。
オレも咄嗟に少し身構えた。
だが。
「……サクラか。この頃のウザさも少しなら、アイツにあってもいいのかもな」
口にした台詞とは裏腹に、そいつはサクラの頭を撫でながらしゃがみこむ。
そして、オレそっくりの顔で、有りえないような柔らかな微笑みを浮かべ、間近で目線をサクラに合わせた。
「「…おい…っ!!」」
オレとナルトは同時に叫ぶが、そいつと、呆けたサクラの耳には入らない。
しかもあろうことか、サクラはその男に抱きついた。
「さ…、サスケくん!!夢みたい…!!」
「……言ってることは同じだな」
そして応えるように抱擁し、桜色の髪を梳く。
その瞬間。
とんでもない寒気と身震いが襲いかかり、全身が痒くなった。
「て、てめえ…っ!!」
「サクラちゃんから離れろってばよ!!」
クナイを構えるも、その男は少しも動じずに鼻で笑いながらオレたちに視線を向けた。
本当の余裕を感じる。
素性は分からないが、マジで強いと思った。
「ち、ちょっと…!あの!嬉しいんですけど私にはサスケくんという、心に決めた人が…!!…あれ?」
錯乱気味にまくしたてるサクラは、言葉とは裏腹にその男から一向に離れようとしない。
無理やり剥がしにかかったナルトは、彼女に思いっきり殴られていた。
特に何の感情も浮かべずにそれを見守っていたそいつは、オレに向き直ると嘲笑を浮かべた。
「…くっそ」
「フン……」
確かに焦っている。
この男は、不可解が過ぎて、正直、ぞっとする。
オレは自分が、随分と子供に思えてきた。
「キモイことすんなよ!」
「……相変わらずクソ生意気なガキだな」
知ってるふうな口振りに疑問が湧いたが、オレはひたすら睨みつける。
――――パタン、と本を閉じる音がした。
「…それじゃ、解散ってことでいいかな?」
それまで黙って読書を進めていたカカシが、呟くと同時に姿を消した。
つづく
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2012.9.26
りあ様、ありがとうございました!
長くなってしまったので、3部に分けてしまいました…。
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