[携帯モード] [URL送信]

short (ss)
星に願いを (フリー)






※注意 ありがちなネタにつき、期待しないでください。
    そしていつものように(?)サスケ上忍、サクラ医療班です。
    それでもイイと言う方、もれなくフリーでございます。どうぞ、捧げます!


******



「天の川、みえないねぇ…」

「―――はぁ?」


「天の川だよ」


そういって、サクラは天を指さした。




『星に願いを』




その手が届くはずもないことはわかっているのだが、サスケもつられて上を仰ぐ。

そこには、何てことはない。

真っ暗な夜空とどんよりと重苦しく厚い雲しか見られない。



「天の川どころか、星ひとつねェな…」



思わず呟くと、隣で小さなため息が聞こえた。



(何だってそんなに、落ち込んでんだか…)



****



今日は、朝からずっと雨が降っていた。

そしてそれは昼過ぎにやっと止んだ。

梅雨の時期がずれ込んだため、湿気が多く蒸し暑い中の任務となったのだった。



下忍ッ子たちを帰して報告に向かい、その帰りに医務室勤務だったサクラと、丁度行き会った。



「彦星だぁっ!!」



廊下の向こうから嬉しそうに駆け寄ってくる姿に、片方の肩が下がる。

だが、そんなバカバカしいことに呆れながらも、疲れが消えていく自分に内心苦笑した。



「何言ってんだ…、おまえ」

「サスケくんの織姫、参上!」



最後の一歩の距離を詰めたサクラが、満面の笑みで云った。



****



「天の川がないから、織姫と彦星は逢えたってことかなぁ」

「………まだ言ってんのか」



湿った空気で覆われた夜道、足を進めながら。

サクラは時折何もない空を見上げながら、残念そうにぼやいた。



「だとしても、星くらいは見たかったな〜」

「なんで」



ぱっと振り向き、背の高い顔を仰ぐと、少し頬を染めながら笑顔になった。



「えへへ〜。お願い事したいから」

「………ふーん」

「私の願い事はねえ……」

「――――何となく、わかる」



サスケは興味なさげに、低いトーンで返す。



「そっか、へへ」



くるりと踵を返して、またゆっくりと歩みを進めるサクラの後姿を見つめた。



――――――今の表情は、まるで幼い日の無邪気な彼女と変わらなかった。


『――――ずっと一緒に居られるように、お願い事したんだ』



無意識に、口元からは笑みがこぼれる。



「変わらねェな。これから先も……」



前方のサクラが振り返った。



「…何か言った?」



小さく鼻で笑って、「別に」と返す。

そして、大きく跨いで数歩進み、すぐに彼女の隣に並んだ。




「まあ、今日のメシはオレが作ってやるよ」

「……えっ!?ほんと、嬉しいっ!!……願いが叶ったようなものかも!!」

「……素麺だけどな」




『これからも、ずっとサスケくんといられますように――――』




fin.
**********
2012.7.7


「オレはずっとおまえと一緒にいるぜ」とかいう台詞は言わせないぜっ!!
七夕ということを忘れておりまして、突発的に書きました。
あまりにお粗末な間に合わせですが、こんなんでよろしければフリーでございます。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!