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short (ss)
distanceA 〜side SASUKE〜 (おたおめ捧げ文)





待機所には、自分も含めて数人の男たちがいた。

みな、休憩中らしく、くつろいだ様子で談笑している。




作戦会議の前に、少し早く来すぎたと思って此処へ来たのはほんの数分前だった。

時間があったので、同じく既に到着していた班員の話に耳を傾けていた。




そこへ、ノックが響き、紅一点が入ってくる。





サクラだ。






彼女は確か今日は、医務室ではなかったか。

先程、班員の誰かが、彼女の事について嬉しそうに喋っていたからだ。




男だらけの部屋の空気が、一瞬にして緊張するのが読める。

ここにいる、ほぼ全ての男たちが、サクラの事をよく知っていると言えるだろう。




それくらい、サスケにもわかる。





一瞬みなの視線がサクラに注がれるも、またすぐに何事も無かったかのように逸らされた。

但し、全員ぎこちない。

サクラはかるく会釈して、その中へと入ってきた。





そのまま部屋の中をきょろきょろと見渡すと、用事のある探し人はすぐに見つかったようだった。

そこで、サスケは彼女から視線を外して、仲間との談笑に戻った。




「喉乾いたなぁ、オレ」





班員の一人が言って自動販売機へと向かって行き、水を買う。

そういえば、そうかもしれない。

会議の前に気を引き締める、という意味で、コーヒーくらい飲んでおこうと思った。





サクラの姿を一瞥してから、立ち上がって自動販売機に向かう。

――――彼女は、用事のある男に包みを渡していた。




サスケは、目的のボタンを押すのを、すこしためらう。

彼女が周りの男たちに囲まれて、なにか騒がれているのが、耳に入ってきた。




「なんだぁ?おまえ、わざと忘れたんじゃないのか?」

「わざわざサクラ先生に届けてもらうなんてなぁ」




「ち…、違いますよ…っ」




その男は少し赤くなって、慌てたように手を大きく振っていた。

サクラも苦笑し、会釈をする。




「…………」





気が付くと、眉間にしわが寄っていた。

これから会議だというのに、気分がガタ落ちだ。




そして、いつもは買うはずのないカフェオレを、下の受け取り口から取り出した。





再び彼女を目で追うと、もう用事は済んだらしく、待機所から出ていこうとしている。

そのまま足を、出口の方へと向ける。




現在の思考回路は、何十通りも回っていたが、すべて無視して口を開いた。





「――――――サクラ」





その名を呼ぶと、彼女はきょとんとした表情で振り向いた。


周りの目が集中するのが、感じられるが、構っていられない。



彼女へと、足を進めて向かっていく。

そして、何も言わずに手に持つ缶コーヒーを放った。



サクラは、少し驚いたように、反射的に受け止める

考えるよりも先に、口からでまかせが出た。




「間違えたヤツだ、いらねえし」



「………あ、ありがとう…」




サクラは、まだ驚いたようにそれだけ答えた。

それだけ聞くと、サスケはすぐに背を向ける。




再び自動販売機へと戻り、小銭を入れた。

聞こえてきたドアの音から、サクラは待機室を後にしたようだ。




周りの視線は気付かない振りをする。

目があった男を威嚇するように軽く睨んで、元いた場所へと腰を下ろした。




「……そっかぁ、オマエ知り合いだったもんなぁ、サスケ」




同僚の言葉は、「プシュッ」と缶を開ける音で打ち消す。



――――――聞こえない振りをした。




「……あいつがいたら競争率、一気に高ぇ…っ」




後ろの方から聞こえてくる声も、聞こえない振りをした。

椅子の背にふんぞり返るように座って見せ、こちらに集中する同僚の好機の視線を見回した。




「……なんだよ、文句あるか」



fin.
*******
2012.7.26


さーちゃんおたおめ第二弾!!
題名はさーちゃん案より、いただきました(^u^)
しかしオタオメ文なのに、「おめでとう」の「お」の字もなかったと、反省・・・。

いただいた素敵なリク通りになっていたでしょうか・・・│;^ω^)チラ

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