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short (ss)
distance@ 〜side SAKURA〜 (おたおめ捧げ文)




火影塔内のとある待機所に入ると、そこには数人の男たちがいた。

みな、休憩中らしく、くつろいだ様子で談笑している。



一瞬みなの視線を集めるも、またすぐに何事も無かったかのように逸らされた。

サクラはかるく会釈して、その中へと入っていく。



きょろきょろと見渡すと、用事のある探し人はすぐに見つかった。

その途中で、離れた場所にいるサスケが、視界に入る。




(……あ………)




今日もカッコイイ。

彼は、数多くの女性噂され、熱っぽい視線を受けていることは、充分知っている。




今更、私は、何もできない。

配属も全く違うし、接点もなにもない。




ただ昔、下忍の頃、同じ班員であっただけで。

今ではもう、たまに一緒に組むナルトのような縁は、ない。




こうして何週間かぶりに、姿を見る事が出来ただけでも稀で幸運なことだ。




現在の班員だろうか、見知らぬ男の人たちと雑談を交わす彼を、そっと盗み見る。

時折小さく笑い、その端正な顔がやわらかくなる。




やっぱり、素敵だ……。

そして、やっぱり好きだ。




無意識に目を細めて、彼を遠くから見つめていた。





楽しそうで……よかった……。





数秒してから、ふと我に返り、用事のある相手の方へと向かって行った。





「やあ、これはサクラ先生!さっきはどうも」





つい先程、医務室を訪れた男だ。

当番医であったサクラは、彼に治療薬を渡しそびれてしまい、追いかけてきたというわけだ。





「…あ、よかった。はい、これ。どうもすみませんでした」





無事見つけられた事に安心し微笑みかけながら、男に薬の包みを差し出した。

それを見て、周りの年かさの男たちが、口ぐちに冷やかす。




「なんだぁ?おまえ、わざと忘れたんじゃないのか?」

「わざわざサクラ先生に届けてもらうなんてなぁ」



「ち…、違いますよ…っ」




彼は少し赤くなって、慌てたように否定する。

サクラも苦笑して、会釈をした。




「お大事に」




そして、まだ小競り合いを続ける彼等から視線を外し、踵を返して出口へと向かった。







「――――――サクラ」




その時、背後から突然、呼び止められた。





その声に、全身が反応する。

自分の事を呼び捨てで呼ぶのは、同期や上司など、限られた人しかいない。




振り向くと、サスケがこちらに向かってきていた。

そしてその手から、何かを放る。





反射的に受け止めると、それは自動販売機で買ったらしい……カフェオレだった。





「間違えたヤツだ、いらねえし」



「………あ、ありがとう…」




やっとそれだけ答えると、サスケはもう背を向けていた。




確かに、甘い物を好まない彼は、飲むとしたらブラックだろう。

間違えて買ってしまったところ、丁度部屋に入ってきたサクラを見かけたらしい。




(うわー、偶然でもうれしい!)




弾みそうになる心と、緩みきってしまいそうになる表情を引き締めるのに、苦労しながら。

サクラは待機室を後にした。




「………あ…」




せっかく久しぶりに会えたのに。

せっかく話しかけてもらえたのに。




『ひさしぶり』も『元気だった?』も言えなかった。





「……また、次があるといいな」



Aにつづく
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2012.7.26

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「未来設定で、両思いなのにお互いに気付いてなくて、片想いだと思い込んですれ違うサスサク」
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