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short (ss)
きみって… (相互お礼 絵アリ)





「おっす!サクラちゃん!!お疲れ様だってばよ!」



「あら、ナルト…火影様じゃない」



病院の廊下で声を掛けられた。

金髪の彼の相変わらずの笑顔に、こっちまで笑みがこぼれる。




「そういえば、今日だったわね。病院の巡回」

「ひ、ひでえ!オレってば、サクラちゃんに会えるの楽しみにしてたってのに…!」



火影、という里長の称号からは想像できないような、情けない顔に苦笑する。

サクラはそんな彼を、はいはい、と手を振って軽くあしらった。




「サークラちゃん、この後ヒマ?メシでも一緒に行くってばよ!」

「あんたねえ…、病院長への挨拶は済んだの!?」




これでもお互い勤務中だと窘めようとしたところ、背後から声だけが聞こえた。




「火影、次の予定がありますので」




声に続いて、奇妙な面をつけた忍が、片膝ついて現れる。

火影の護衛、暗部の忍だ。

おそらく一人ではないだろう。




「…ほーらごらんなさい」




悔しそうに唇を曲げるナルトに対して、サクラは笑って言ってやった。




「さあ、火影、行きますよ」



ナルトは彼らに促されて歩き出す。


途端に、サクラのその笑顔は、強張る。





いつの間にかナルトの背後に居た、暗部の装束に身を包んだ計3人の忍たち。

そのうちのひとりが肩越しに振り返り、面を軽く上げたのだった。




「……さ…っ」




サクラが指差して固まっている間に、火影たちは廊下の角を曲がって見えなくなってしまった。

驚きのあまりぱくぱくとさせた口から、息を吐く。




「…今のって…?」




「……なに、固まってんだよ」





背後から、聴きなれた低い声が降ってきた。





「――――サスケくん!!」





振り返って見上げると、そこには一番大好きな、彼。



「よう」


「…え!?…聞いてないよ…っ、今日こっちくるなんて」



サクラは不自然に狼狽する。

今朝の彼は、いつも通りの任務、と言っていただけだったのに。



「別にいいじゃねェか。そのほうが」



軽く笑って言う彼に、不覚にも赤面する。



――――楽しんでる……!



「…で、何か楽しそうだったな。ウスラトンカチに誘われて」


「……はぁ!?」



先程の、ナルトの軽い挨拶のことだろうか。

あんな程度なら、ザラにあることだ。



――――と、言いかけて、やめた。




少し、目が据わっている。





「会いたかった…」


「さ…、ささ、サスケくん…!?」





迫る黒い瞳に、何故か心臓の鼓動がうるさく響く。

いつも、見慣れているはずなのに。



「――――とか言われてたしな」



「………!!」




サクラの肩が、片方がくっと下がる。




「もう!!わたし、診察いかなきゃ…!」


「……ふぅん」




ほんの少し怒ったふうに言ってみたのだが、彼には通じない。

捕まえられた白衣の腕を離してくれない。





「ホラ!サスケくんも、戻って!!」


「…なんか、忘れてる気がするんだよな…」





彼は、少しも時間を気にする様子もなく、呟く。

サクラの双方の瞳を、じっと見つめたまま。




「な、なに…?」


「…………」



じ――っと見つめられるサクラは赤面し、幻術にかかったように身動きできない。



彼って、こう見えて、意外と。

こういうトコロもあったりする。




そして。

観念したように、瞳を閉じる。





「もう……っ」




かかとの高いサンダルで、背伸びをした。







*****




「―――サスケェ!遅いってばよ!!」



振り向いて怒号を飛ばすナルトに対して、他の二人の忍も振り向く。

すぐに追いついた同僚の忍は、暗部の面をかぶり直していた。




「ああ、ちょっとな」




彼は、少しも悪びれた様子も無く飄々とした態度で加わる。

尚も訝しげねめつけるナルトに対して、サスケは少し考える振りをして、言った。



これだから彼女からは、目を離せない。




「……薬をもらっていただけだ」




fin.




************
2012.7.27


相互サイト「Sympathy」の管理人サキミさまより、相互記念に素敵絵をいただきました。

『暗部サスケ×白衣サクラ@木の葉病院』という私のわけのわからんリクに見事応えてくださって…!!

どうもありがとうございました!

そしてそれに勝手に文をつけてしまったという愚行…。
完全わたし妄想でごめmmmm
もしよろしければ、さきみさん、もらってくださいm(__)m



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