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short (ss)
mather's love (絵アリ 捧げ文)



抹吏さまより頂いた、素敵な絵に文をつけてみました!
『暁なサスサク』というお題です(*^_^*)



************



「サスケくん……」



あなたは、変わった。



「………なんだ」



昔とは、もう違う。



「………わたし」



だから、今度はわたしが、守りたいのだ。



「わたしも、ついていくわ」











彼は、復讐の対象である実兄を討った。

そして、目的を果たしたにも関わらず、「暁」として反逆者の身へと、堕ちた。




敵は、木の葉。

彼の復讐は、終わってなどいなかった。





単身で接触し、彼にまつわる真実について語られた私は。

何も、考えられなくなってしまった。




何が、正しくて、誰が、正義で。

全てがひっくり返り、ばらばらの欠片となって、散らばってしまった…。




一体、誰のせいなのか。

ううん、そんなことよりも。




彼が、歴史の犠牲になったことが、胸を貫く。

まだこんなにも、彼のことを想っていたなんて―――――。




幼かった日の、偽りの虚勢も、遠くを見る目も。

今の彼には、もうない。





知ってはならない、全ての憎悪を垣間見てしまったような。

見てはならない、残酷な真実に触れてしまったような。




今のあなたは、凍ったような冷たい心。

昔よりも更に深く暗い、孤独に埋もれる。




そして、そこには、いいようのない寂しさだけが横たわっていた。

誰をも拒絶しながらも、その奥で温もりを求めるような。





「わたしは、どんなことになっても、サスケくんについていくって、決めたから」


「…………」




わかったの。




好きだったから、じゃなくて。

同じ班だったから、でもなくて。





彼が、わたしを求めている。

放っておくことなんて、とても出来ない。






目の前から次々と、大切な人が消えていった彼は。

本当に一人になってしまった彼は。




まるで、支えを失った梯子を前に、茫然と立ち尽くすかのように。





堕ちてしまった。





這い上がることも出来ない。

真っ直ぐに立て直すことも、出来ない。

バランスを取ることを忘れてしまったかのように、上を見ない。




光を見ることが、もう、出来ない。

彼は、とっくに瞳を閉じてしまっていた。








あれから、数ヶ月が経っていた。

今のわたしに、迷いなど、ない。




誰よりも、何よりも、必要とされているのだから。

今度こそ、この手を離してはならない。




「サスケくん……」




私は、もう一度呼んだ。

放っておけない、この憐れな少年の名を。





「冷えるぞ…」



「………ん、平気だよ」

「いいから」



口調だけは、昔と少しも変わらない。




少し肌寒い秋風に、彼のコートが肩に被せられる。

わずかにも無い距離で、慣れた匂いがした。




「……ありがとう」




あまりにも近くにある、広い胸に手を置いて。

少し俯き加減に、わたしはつぶやいた。












大事にされている。


それが、彼の仕草で分かってしまう。





『傍に居てくれて、ありがとう……』





彼は、決して言葉にはしないけれど。

感謝されているのは、わたしの方だった。




「……ううん、いいの」




全てを悟っていたから。

わたしはもう一度だけ、口を開いた。





そしてじきに、この唇が塞がれることも、知っている。




彼と共に、わたしは瞳を閉じた…。





fin.





***********
2012.7.30

抹吏さま、素敵な絵をどうもありがとうございました!!
この素敵絵は「takara」にも飾っておりますので、ぜひどうぞ!!(私の悶えコメント付きです)

管理人は、これまで二部は書いたことがなかったので、今回初挑戦でした!
しかも強引な設定ェ…。

実は『暁サスサク』という無茶振りをしたのは私です…(;一_一)。
それに見事に応えて下さったまつりさんスバラシすぎる…!!!

無いアタマをどうにか捻ってつけた文ですが…この美し絵に完全にカバーされている気がする!…というかそうに違いない!!
題名の通り、『母性愛』にかこつけてみたのですが…自滅…

さてこれに「のし」つけて、まつりさんに押しつける(^^ゞ←

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