short (ss)
mather's love (絵アリ 捧げ文)
抹吏さまより頂いた、素敵な絵に文をつけてみました!
『暁なサスサク』というお題です(*^_^*)
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「サスケくん……」
あなたは、変わった。
「………なんだ」
昔とは、もう違う。
「………わたし」
だから、今度はわたしが、守りたいのだ。
「わたしも、ついていくわ」
彼は、復讐の対象である実兄を討った。
そして、目的を果たしたにも関わらず、「暁」として反逆者の身へと、堕ちた。
敵は、木の葉。
彼の復讐は、終わってなどいなかった。
単身で接触し、彼にまつわる真実について語られた私は。
何も、考えられなくなってしまった。
何が、正しくて、誰が、正義で。
全てがひっくり返り、ばらばらの欠片となって、散らばってしまった…。
一体、誰のせいなのか。
ううん、そんなことよりも。
彼が、歴史の犠牲になったことが、胸を貫く。
まだこんなにも、彼のことを想っていたなんて―――――。
幼かった日の、偽りの虚勢も、遠くを見る目も。
今の彼には、もうない。
知ってはならない、全ての憎悪を垣間見てしまったような。
見てはならない、残酷な真実に触れてしまったような。
今のあなたは、凍ったような冷たい心。
昔よりも更に深く暗い、孤独に埋もれる。
そして、そこには、いいようのない寂しさだけが横たわっていた。
誰をも拒絶しながらも、その奥で温もりを求めるような。
「わたしは、どんなことになっても、サスケくんについていくって、決めたから」
「…………」
わかったの。
好きだったから、じゃなくて。
同じ班だったから、でもなくて。
彼が、わたしを求めている。
放っておくことなんて、とても出来ない。
目の前から次々と、大切な人が消えていった彼は。
本当に一人になってしまった彼は。
まるで、支えを失った梯子を前に、茫然と立ち尽くすかのように。
堕ちてしまった。
這い上がることも出来ない。
真っ直ぐに立て直すことも、出来ない。
バランスを取ることを忘れてしまったかのように、上を見ない。
光を見ることが、もう、出来ない。
彼は、とっくに瞳を閉じてしまっていた。
あれから、数ヶ月が経っていた。
今のわたしに、迷いなど、ない。
誰よりも、何よりも、必要とされているのだから。
今度こそ、この手を離してはならない。
「サスケくん……」
私は、もう一度呼んだ。
放っておけない、この憐れな少年の名を。
「冷えるぞ…」
「………ん、平気だよ」
「いいから」
口調だけは、昔と少しも変わらない。
少し肌寒い秋風に、彼のコートが肩に被せられる。
わずかにも無い距離で、慣れた匂いがした。
「……ありがとう」
あまりにも近くにある、広い胸に手を置いて。
少し俯き加減に、わたしはつぶやいた。
大事にされている。
それが、彼の仕草で分かってしまう。
『傍に居てくれて、ありがとう……』
彼は、決して言葉にはしないけれど。
感謝されているのは、わたしの方だった。
「……ううん、いいの」
全てを悟っていたから。
わたしはもう一度だけ、口を開いた。
そしてじきに、この唇が塞がれることも、知っている。
彼と共に、わたしは瞳を閉じた…。
fin.
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2012.7.30
抹吏さま、素敵な絵をどうもありがとうございました!!
この素敵絵は「takara」にも飾っておりますので、ぜひどうぞ!!(私の悶えコメント付きです)
管理人は、これまで二部は書いたことがなかったので、今回初挑戦でした!
しかも強引な設定ェ…。
実は『暁サスサク』という無茶振りをしたのは私です…(;一_一)。
それに見事に応えて下さったまつりさんスバラシすぎる…!!!
無いアタマをどうにか捻ってつけた文ですが…この美し絵に完全にカバーされている気がする!…というかそうに違いない!!
題名の通り、『母性愛』にかこつけてみたのですが…自滅…
さてこれに「のし」つけて、まつりさんに押しつける(^^ゞ←
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