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キャンディ#2
▼お父さん
何だァ、この状態。

俺と萌ちゃんは、並んで正座させられている。
向かい合って、副長と沖田隊長。

暫し、沈黙。

重てェェェェ。
誰か、早く何か喋ってくれ。
あれ。
これ、どっかで聞いたことあるぞ。
確か、合コン的な。
俺は、良く知らないけれど。

そんなことは、どうでもよくて。



「・・・萌、」



この重てェェェェ空気を破ったのは、副長だった。



「・・・」

「萌、」

「・・・」



どうやら、萌ちゃんはシカトを決め込んだようだ。

ヤバイよ、萌ちゃん。
副長のこめかみがピクつき始めたよ。
取りあえず、返事して!

俺は、萌ちゃんの肘を突っついた。



「萌、」

「・・・何ですか」



溜め息と一緒に吐き出された「何ですか」は、すごく可愛くなかった。



「何ですかって、お前」

「土方さん心配ばかりするんだもん!やだ!さっきだって見てくれって言ってるようなもんだなんて」

「あれは、」

「・・・可愛いって、言って欲しいのに!」



え?
何か、変じゃない?
そこは、どーでもよくね?



「・・・萌?」



副長は、萌ちゃんの前に膝を付いて手を伸ばした。



「土方さん、お父さんみたい」

「は?」



萌ちゃんの頭を撫でようとした副長の手が止まった。



「おと、お、お父・・・さ、ん」

「アニキ気取ってたのに、親父扱いされてまさァ」



沖田隊長は、腹を抱えてゲラゲラと笑い転げた。



副長は「おと、お、お父・・・さ、ん」と、不気味にぶつぶつ言いながら部屋を出て行ってしまった。

副長室なのに、ここ。


あーあー。
俺は、知らないよ。
ありゃァ、完全にショック受けたね。
相当なダメージだよ。



「口煩い親父は放っといて。何の作戦会議なんでィ」



沖田隊長が、ニヤニヤしながら聞いてきた。
完全に、楽しもうとしてるよ。
完全に、引っ掻き回そうとしてるよ。



「だから、沖田さんには関係ないでしょ!」

「まァだ、そんなナマ言うんですかィ?」

「萌ちゃん、もう諦めな」

「諦めなせェ」



萌ちゃんの頬っぺがぷくーっと膨れた。
だけど、沖田隊長のこの黒い微笑から逃れられないのは、萌ちゃんも分かっているはず。



「実は、萌ちゃんはある男性に片想いをしていまして・・・」

「こりゃァ、面白ェや。土方に報告だ。親父呼ばわりされた上に好きな野郎が出来たときたら正気じゃいらんねェだろィ」

「だーかーら!沖田さんには知られたくなかったのに!!」



ほら。
萌ちゃんは、自覚ないんだろうけど、こうやって沖田隊長も巻き込まれてる。

そして、これから副長も巻き込まれるんだ。


放っておけばいいのに。

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