キャンディ#2
▼しっぱい
主要登場人物には、誰にも会いませんように。
と、心の中で祈った。
「萌ちゃん、あの角を曲がると副長室。俺が先に行くから、着いてきてね」
「はいっ☆」
また☆。
もう、突っ込むのも疲れた。
俺は、カンサツじゃなくて監察だぞ。
バレる訳がない。
副長室の前を通り過ぎて、萌ちゃんに手招きした。
萌ちゃんは少し考えて、何かを思い付いてパチンと指を鳴らした。
やっぱり、バカ。
コッソリっつってんのに、わざわざ音を鳴らして、どうすんだよ!!
萌ちゃんは、次に四つん這いになって部屋の通過を試みた。
バカだ。
マジでバカだ。
少し考えた結果がこれか。
「よォ、萌。パンツが丸見えだぜィ」
出たァァァ!
今、一番、会いたくない人。
「キャァァ!!」
あーあ。
もう、コッソリもクソもない。
「やだ!沖田さんのエッチ!変態!ドS!」
「そんなトコで、そんな格好してる方が悪いんでさァ」
もしかしたら、沖田隊長は本当に萌ちゃんのパンツを見たかもしれない。
だって、萌ちゃんは今時の女の子だから。
ファッションが、ね。
アイドルの寺門通みたいな丈の短い着物を着ていたから。
それで、四つん這いになってりゃね。
「もう、イヤだ〜」
「ところで二人でコソコソ何やってんでィ?」
「あ、えーと」
「そんなの沖田さんには、関係ないでしょ!」
「そんな可愛いげのねェ女には、お仕置きが必要でさァ」
「イヤーーー!」
何、これ。
何てプレイ?
「うるっせんだよ!!」
「「「あ」」」
「あ、じゃねェよ!つーか、総ォ悟ォォお前、何やってんの!!」
「何って、お仕置きでさァ」
副長が、襖を開けた途端に怒鳴るのも無理はない。
書類整理をしている事を知っていながらの、この騒ぎ。
しかも、その書類の大半がコイツ(沖田)関係。
しかも、四つん這いの萌ちゃんを沖田隊長が足蹴にしている光景。
そりゃ、怒鳴りたくなるよ。
「萌、お前もそんな格好してんじゃねェよ。見てくれって言ってるようなもんだろ」
「・・・言ってないモン」
「言ってなくても、そう受け取られかねないっつってんだよ。あと、"モン"は止めろ」
「・・・」
なるほど。
これは、口煩い親父だ。
萌ちゃんは無言だけど、うるせェなァって腹の中で言い返してるに違いない。
「ほら、沖田さんのせいで怒られちゃったじゃん」
「俺のせいじゃねェだろィ」
「ちょっと待て!俺は怒ったつもりなんてねェぞ」
「もう!私は山崎さんと作戦会議をしに来たの!!」
バカ。
何で、言っちゃうの!!
「何の作戦会議なんでィ」
「山崎テメェ、萌に下らねェこと教えてんじゃねェぞ」
「いや、あの」
何で、俺に矛先が向いてんの。
もう、イヤだ。
「萌ちゃん、話しちゃえば?もう、内緒に出来る状況じゃないよ」
「うー・・・」
萌ちゃんから「うー」という、唸り声が聞こえた。
俺には、それが「言いたくない〜」と聞こえた。
てゆーか、沖田隊長?
いい加減、萌ちゃんを解放してあげてください。
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