優しい嘘つき 「ツナ」 「ん?」 「あたし今日死ぬ気がする」 「…え?」 俺の仕事が一段落ついて、中学時代からの部下…(その当時は友人)の名前がコーヒーを運んできて、休憩に入った時だった。彼女は突然そんなことを言い出した。そりゃあマフィアの世界にいるのなら、毎日が死と隣合わせだ。今日、明日、死ぬかもしれない。 でも何で突然、そんな事を言いだしたのか。名前は今日、任務は無いはず。屋敷内にいるかぎりそんなことは起きない。(その前に俺が起きさせない) 「…何で、って顔してるね」 「そりゃあ、」 「好きよ、ツナ」 俺の言葉をさえぎるように、唇に柔らかいものが当たる。同じコーヒーを飲んでるはずなのに名前のそれは甘い気がする。 「…甘い」 「…あたしのもブラックだよ?」 「名前が、甘いんだよ」 カップを置いて、目の前にいる名前を抱き寄せて膝の上に乗せた。スカートだし、横向きに。そのまま両腕で抱きしめる。 「…今日のツナ、変」 そう言いながら名前は、俺の頭を両腕で抱え込むように抱きしめた。胸が当たってる…っていうか胸に埋まってるけど…!…まぁ気持ちいからそのまんまで良いや。 「…名前のほうが変」 「そうかも」 「死ぬかも、ってどういうこと?」 顔を上げて名前を真っ直ぐ見ながら言う。すると、「…そのまんまの意味」と、うっすらと苦笑しつつ答えた。 「そんなこと、俺がさせない。俺が守る。俺が名前を、」 「ツナ。あたし…」 また俺の言葉を切られた。まるで俺の言葉は聞きたくないみたいに。 でも、これだけは言わなくちゃいけない。 「…名前はどんなことがあっても必ず、俺が守る」 「…うん」 名前が泣きそうな顔で答える。だから泣かないで、って意味を込めて、その瞼にキスを落とした。 「…俺は死なないよ」 今度は反対側の瞼に。 「ん、絶対、ね?」 次は頬に。 「約束する」 そう言いながら、名前の前髪を上げておでこにキス。 「…じゃあ、誓いのキスして?ツナ」 名前のかわいいお願いに、思わず笑みがこぼれた。 「もちろん」 君は俺が守る。 ツナが話し合いに行って殺されたのは、次の日だった。 優しい嘘つき 綱吉くん難しいっす…!moのをアップしてみました。 |