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コンシェルジュの憂鬱。



あの上司を入社させた本社の専務から、彼に対しては自己判断で対応していいと言われているので、特に問題はない。
責任も専務が取るそうだ。

つまり、こちらに非がなく、正論であれば彼の不満は揉み消すという事だろう。

専務も上司の本家からそう言われているらしく、入社させる条件だったらしい。

だから比較的、日常的に非の少ない私が頼まれる事になり、上司の対応は私にほぼ一任されている。


上司も去年私が来る前からその事は知っていたらしく、配属された当初からかなり当たられていた。


ストレスはあったが、子供の頃に比べるとそうでもない。
私はかなりの貧乏だった上、施設育ちだ。幼い頃はそのことでよく虐められた。
その上当時は表情の作り方も分からず、無表情だったため気味悪がられてもいた。


直ぐ近くの公園で、缶コーヒーを飲みながら思い出す。




*




私は母子家庭だった。父親の話しは聞いた事がなく、顔も見た事はない。

母は私に無関心で、育てる気など更々なかったのだろう。

度々変わる母が連れて来る恋人は、常に私に暴力を奮った。

機嫌次第で殴る蹴る、真冬に裸でベランダに一日中放置された事もあった。

母は自分を着飾る事にしか金を使わず、私はいつもボロい服をきて、痣を作り、食事はカップ麺ばかりでガリガリ。

その上喋るのも拙いなんて、苛められるのも当然だった。


そして14の時。二年生に進級しても苛められていた私は、酔ってふざけた母の恋人に洗濯機の中に閉じ込められる。

いつもの様に動かず黙って男が飽きるのを待ったが、その日は中々解放されなかった。

男は私を閉じ込めていた事を忘れていたらしい。

何時間、何日経過したか分からなくなった頃、ようやく意識を手放せた。



目が覚めた時は病院。
どうやら男が、死んだと思って救急車を呼んだらしい。



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あきゅろす。
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