コンシェルジュの憂鬱。
4
閉まったのを確認して頭を上げ、先程の藤堂様を思い出す。
少し疲れてらしたな…
だけど、そのせいか何だか色気があって…
しかもただいまって…!
ただいまって言ってくれた…!!
ああ、何か用を頼んでくだされば少しだけでも話しが出来たのに…
もちろん表情は変えない。
だから、私がこんな事考えているだなんて誰も思ってもみないだろう。
そう、私は12年前、あの方に出会った時からあの方を忘れられない――。
夜の20時。夜間の者と交代し、帰路に着く。
自宅は電車で一時間、最寄り駅から歩いて30分のボロアパートだ。
仕事が大変な分、お給料はなかなかに頂いているが、仕送りにかなりを使っているため、勤め先近くに住むには少し厳しいのだ。
家賃5万7千円。
都心近くにしてはかなり安い方だろう。ボロいが。
まあ自宅は寝にしか帰っていないし、特に問題はない。
帰宅する頃にはもう22時近く。
仕事は8時間交代制だから、明日は昼前に家を出ればいい。
シャワーを浴び、10分でチャーハンとサラダを作り勉強しながら食べる。
学ばなければならないことはまだまだ沢山あるのだ。
勉強を続け、午前0時を回る頃就寝。
詰まらなそうに思えても、私はこの生活に満足していた。
*
翌日。今日は上司とぶつかった。
上司といってもコネで入った、現場経験もなく気が小さいくせに態度だけは大きい、職権乱用パワハラセクハラ何でもするような上司だ。
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