コンシェルジュの憂鬱。
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それから、話しをしながら何度か藤堂様にお代わりを頂いた。
飲みやすい上、緊張も解れるから助かった。
何より顔が赤いのもお酒のせいに出来る。
「明人はお酒、強いのかな?」
「ん、いえ…分かりません。おさけなんて会社の新年会のとき、すこし舐める程度ですし…。」
「そう。今度はもう少し強いお酒、入れてみようか。」
頭がふわふわしていて、何だか分からなかったけど、藤堂様が楽しそうに笑っていたから頷いた。
「クロネクルだよ。飲める?」
「はい…。いただきます。」
藤堂様が私を微笑みながら見ている。
いつもなら恥ずかしくて顔を反らすが、何だか今は嬉しくなった。
その気分のまま一気にグラスを傾ける。
「っ、喉が、あつい…でも、おいしいです。」
「ああ、すまない。少し強すぎたかな。」
「いえ。」
「だけど明人、熱いのは喉だけ?」
「あ…。」
身体が芯から熱くなっていた。
藤堂様は気がついたのか、ボタンをいくつか外してくれる。
「申しわけありません…!ありがとうございます。」
申し訳なさに俯きながらお礼を言う。
だがクスクスと声がしたのでそちらを見ると、藤堂様は笑っておられた。
「……何かしましたでしょうか?」
お酒のせいか、少しの事でも不安になる。何か可笑しな事でもしたのだろうか。
「いや、悪い。気にしないで。ただ、明人は外で飲まない方がいいね。」
「どうしてですか?」
「こんな簡単に男の手口に嵌まったら俺も困るからだよ。」
「…え…?」
「自分がかなり酔っているって、理解してる?」
「あ、…はい。申しわけありません。」
「自分がどれだけ色っぽいかは?」
「え、あの…、」
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