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コンシェルジュの憂鬱。
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結局、並べられていた結構な品数の料理をほとんど食してしまった。


「御馳走様でした。とても美味しかったです。」

「御馳走様。本当に。ここのシェフは腕がいいね。」

「ええ、社長一押しのシェフ達なんです。藤堂様が褒めておられたと、伝えておきます。」

かなり喜ぶだろう。
あの人達は藤堂様の隠れファンだ。

「ああ。とても美味しいけれどサービスはもういい、とも頼むよ。」

「……畏まりました。」

サービスなんてしてたのか…。



食事が終わり、ソファに移り食後の一杯を頂く。
明日は休みなので、私も藤堂様もお酒だ。


藤堂様の部屋にはミニバーがあり、そこにも多種に渡る酒が置かれている。

一応、シェイカーなど器具もあるのだが、なんと藤堂様自らカクテルを作って下るという。


「宜しいのですか?」

「勿論。明人、リクエストはある?」

「申し訳ありません…お酒には余り詳しくないのです。」

保存の仕方や高価なお酒の知識はあるが、
お酒はどうしても母やその恋人のイメージが強く、進んで飲もうとは思えなかった。

「ああ、そうなのか。なら酒は止めてコーヒーでも煎れようか?」

「いえ!是非、頂きたいです。」

藤堂様が作って下さるというのに、勿体なさすぎる!

少し必死すぎたのか、クスリと笑われた。

「そう?」

「、はい…。その、宜しければ。」

「なら飲みやすいのを作るよ。ライムは好きかな?」

「好きです。」

料理を作る時に使ったが、香りも味もとても良かった。

藤堂様は私の返事を聞くと、少し微笑んで迷う事なくいくつかのボトルを取る。

「…慣れていらっしゃいますね。」

「ああ…学生時代に少しバーテンダーをしていたんだよ。」

「そうなのですか。」

私には何をしているのか分からないが、流れる様な動作に気を抜いたら見惚れてしまう。




……当然、付き合ってきた女性にも作ったのだろうなんて、考える資格は私にはない。

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あきゅろす。
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