コンシェルジュの憂鬱。
27
………!
そ、それは社交辞令だろうか。かなり嬉しいが、喜んでおいて社交辞令だったら引かれる。
無難に流すべきなのか?
だけどもし社交辞令じゃなかったら…勿体なさすぎる。
藤堂様が案内して下さるなんて、大聖堂を一緒に見られるなんて…!
と、取り敢えず、流さず、かと言って過剰に喜ばない様にしよう。
「本当ですか?ありがとうございます。」
っこれでは流している様だろうか。
「…宜しければ、是非。」
期待してる感が出てしまっただろうか…?
藤堂様を少し見ると、とても楽し気に微笑んでおられた。
……表情は、変わっていない、はずだが…。
とにかく引かれはしなかったらしい。
「ああ、行く時には声を掛けてくれ。フランスにはいい所が沢山あるよ。」
「フランスで育った藤堂様なら、やはりお詳しいのですね。」
「どうかな?2年程でまた引っ越したからね。仕事でよく行くんだよ。」
「2年ですか…。言語が違う国々に住むのは、大変そうです。」
「まぁ、幼少期じゃなかったら大変だっだろうな。子供だったから、何も考えていなかったよ。」
藤堂様は笑った。
幼少時代でも、辛いだろう。
2年程で引っ越したということはきっと、言葉を交わせる様になった頃にまた、言語の違う国へ行ったのだろうから。
「明人は東京生まれ東京育ちなのか?」
「はい。東京と言っても、郊外だったので周りは田圃ばかりでしたが。」
「田圃がある東京…いいね。自然も都会も近いのだろう。」
「そうですね。各停の電車しか止まらない様な所ですが、いい所ですよ。」
「…ははっ。どうしてか日本の人は、そういう時電車で例えるね。」
笑った…
「そ、そうでしょうか?」
「ああ。不動産にも、最寄り駅に急行・快速が止まるか載っているし。」
「そういえば以前見た物にも載っていました…。」
「不思議で仕方なかったよ。」
藤堂様は、移動が大体車だから尚更だろう。
というか、電車乗った事、あるのだろうか…?
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