コンシェルジュの憂鬱。
13
いつから?もしかして私が川に技と落ちた所も?大口開いて笑っていた所も?
「…っ」
顔に血が集まる。恥ずかしい。表情を作れない。顔を上げられない。
さっきまで子供達と一緒にはしゃいでいたから、余計にだ。
失礼なのは分かっているが、よりによって藤堂様に見られるなんて…。
悶々と考えていると、藤堂様が上に羽織っているシャツを脱がれた。
「…着ときなさい。風邪を引くし、…目に毒だよ。」
肩から掛けられ、その優しさと後半の意味が分からずぽーっとしていると、手を引くときにぐり、と乳首をつねられた。
「…ぁっ…!?」
思わず変な声を出して身を引いてしまうと、藤堂様はふ、と笑って手をゆっくりと胸から腹、腰まで滑らせる。
「っ?っっ?」
藤堂様が自分に触れている。
そう思うと、さらに離れることも出来ずに、身体を震わせながら藤堂様を伺った。
「…透けているよ。」
はっとする。そういえば、今日は白のシャツで、暑かったから下にはなにも着ていない。
別に私は男だ、気にすることはない。
だが…藤堂様が、先程、私の、…そう考えると、異様に自分がはしたない格好をしているようで、急いで藤堂様に貸して頂いたシャツの前を合わせる。
「やっぱり俺のは大きいね。」
クスクス笑いながら言う。
「え、あ、いえ、…ありがとうございます。」
大きいのは事実だ。
私は170センチジャスト、藤堂様は184はある。
その上体格も違う。
「…その、失礼な所をお見せしてしまって。」
「ああ、いや全然。俺も楽しかったしね。」
…それは、何がだろうか。
「全部がだよ。」
「っ失礼しました。」
そうだった…。藤堂様は表情を読むことにずば抜けてなさる。
だからこそ読めない私を面白く思って下さったのだろうが…。
「いや、だから楽しかったよ?斉賀くんの可愛いとこ見れたしね。」
「藤堂様、何がご予定があったのでは?引き止めてしまいまして。」
これ以上は無理だ。心臓を酷使しすぎて死ぬ。
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