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コンシェルジュの憂鬱。
12


「あき兄こっち!ここ見て!」

数人が川を覗きこんでいる。
向かおうとすると、近くの男の子達がにやっと笑ってこっそり近づいてくるのがわかった。

ああ、これは…んー、仕方ないか。嵌まろう。


そう決めて近き、私も川を覗きこむと案の定後ろから少し押された。


きっと本当に川に落とす気はなく、ビックリさせようとしたのだろう。

勿論思い通りには行かせず、技と派手に川に落ちる。


「わー!?あき兄!」

「あき兄ちゃん!」

みんな近づいたのを確認し、水を思いっきり掛けた。

「きゃー!」

「うっわ!?」

「あき兄ちゃんー!もー!!」

「あはははっ!」


それからはもう水の掛け合いで、5分で見事にびしょ濡れになった。

私も笑いながら水を掛け、掛けられ、ある子が自分で掛けた水を何故か自分で被り、みんなと一緒に爆笑していた。


この子達となら笑えるんだ。

仕事用のでも、作った笑顔でもなく、自然に。


暫くして少し落ち着き、数人が川原に行った。私もそちらに行こうと髪をかき上げ、ふと反対岸に目をやったところで……固まった。



藍色のBMWに寄りかかり、こちらを見ている人が居たのだ。

――藤堂様だった。




少しして、はっと我に返った。急いで会釈し、職員さんが車から持ってきてくれたタオルで軽く拭きながら、小走りで駆け寄る。




「…藤堂様、この様な格好で失礼致します。」

「いや、…そこの道路を走っていたら君らしき人を見つけてな。まさかと思ったんだが……。」


っそうだ。今の水を掛け合い遊んでいるところを見られたんだ…!

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あきゅろす。
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