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 「お疲れです。……うわっ、これは酷い」

 場数をあまり踏んでいない新人は、現場に足を踏み入れた瞬間鼻をおさえて仰け反った。

 和泉崎は極力顔を歪めないよう努めながらその内の一つに近付く。

 地面に俯せに倒れている少年の頭には綺麗な大きな穴が空き、そこから紅い液体や灰色の物体が溢れ出していた。

 無理矢理視線を引き剥がし、別のモノをみた。
 木と開けた場所の境界辺りに倒れている少年の全身は赤黒く染まっていて、その喉には凶悪な手で引き千切られたように無惨な傷があった。

 「ああ、しーちゃんお疲れ」

 鑑識達が狂ったようにある死体にスポットを焚く傍らでぼーっと突っ立ってそれを観察していた痩身の体躯をした白衣の男は、和泉崎に気付くとにこやかに手を振った。
 どことなく軽薄な感じのする男で、濡れ羽色をした長い髪の毛を、項辺りで無造作に縛っていた。

 「よう、何かわかったか?」

 男は頷く。

 「うン。加害者6人は地元でも有名な不良グループで、窃盗恐喝傷害強姦その他諸々やってて他の不良達からもかなり怖がられていたらしいヨ。何するかわからない奴らの集団って」

 本当はこういうのキミ達の管轄だけど、と付け加えた。
 それから、とついと白く長い指が上を向く。
 指差したその死体は売れっ子のアイドルのようにカメラのフラッシュを浴び続けている。

 「この仏サンの身元はまだ。多分、被害者少年グループが欲望ぶつける為に拉致ったか、そんなとこでしョ」_

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