[携帯モード] [URL送信]
 

小さく、こどものように丸まって眠るアレンの髪をそっと撫でた。それからふっと一人、笑いを溢す。
こどものように、なんて、彼は紛れもないこどもなのに。
体だって年相応、俺から見ればまだまだ小さい。顔立ちも可愛らしく、実年齢より幼く見えるほどだ。

しかし、他人を守って勇ましく戦うアレンは、迷いながらも自分の意思をはっきり持って前に進んでいくアレンは、そこいらのオトナよりずっとずっと大人であるように感じるのだ。
俺だってアレンとそこまで歳は変わらないけれど、それなりに波乱万丈な人生をおくってきたけれど、アレンはもう少し、こどもでもいいと思うんだ。

前髪を掻き分けて、あどけない顔で眠るアレンの額に、呪いのかけられた左目に、口付けた。
このままアレンの呪いが、俺の腹の底に落っこちてしまえばいいのに。
「ら、び…?」
白で縁取られたアレンの瞼がふるえた。
「おはよ」
「んん…おは…よ…」
ぼんやりと焦点の合わない瞳を持ち上げるアレンに再び唇を寄せる。つむじ。眉。鼻の頭。
普段ならもう少し抵抗されるけれど、覚醒しきっていないアレンはくすぐったそうに身動ぎするだけ。
「アレン、起きて」
「起きてますよぉ〜…」
「うそ。ちゃんと俺の方見て」
「うん…」
そう言いながら、アレンはまた瞳を伏せてしまった。
アレンの左目を覆うように巣食う呪いに沿うように、べろりと舌を這わせた。
今度こそ驚いて目を覚ましたアレンの瞳には、俺しか映っていなかった。









君を縛るそれに嫉妬した









2013.2.26


あきゅろす。
無料HPエムペ!