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ぎゅううっと腰の辺りにほのかな温もりが絡み付く。俺の胸に埋められたまあるい頭。
カザからこんな風に抱きついてくることなんて、普段はほとんどない。一体どうしたんやろうと思いながら、柔らかい黒髪を出来る限り優しく撫でた。

カザは、人に甘えるのがとても下手だと思う。彼の生い立ちが影響しているのかはわからないが、不器用なくせして他人の世話はよく焼くくせに、自分は人に迷惑をかけまいと小さな体でなんでもかんでも抱え込んでいるように見える。

だからカザがこんな風に何も言わずにただただくっついてきてくれるなんて、とても嬉しい。
もちろん、彼の心にダメージを与えるような何かがあったのだろうから、心配ではある。出来ることなら今すぐその不安を全て拭い去って笑わせてやりたい。
しかし、こうして俺の所に来てくれたという事をもう少し噛みしめたいのだ。ようは、俺を頼ってくれたってことやろ?俺なら、カザが助けを求めて伸ばした手を絶対に拒まないと思ってくれたってことやろ?

頭を撫でている手と反対の手をカザの背中に回し、俺より一回り小さい体を包み込んだ。さっきより力強く胸に押し付けられた頭に小さく苦笑いを溢して、旋毛目掛けて唇をおとした。

俺はカザの拠り所になら、喜んでなる。
辛いなら理由も言わず甘えていい。
だから、晴れやかな笑顔を取り戻したその時は、一番に俺に見せてな。










おいで









2012.10.8


あきゅろす。
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