[携帯モード] [URL送信]
 



べったりと銀時にくっつく沖田。
「沖田くーん?」
「何ですかィ」
「いや、何ですかじゃなくて暑いんだけど」
「そーですねィ」
銀時の額からはとめどない汗。沖田も涼しい顔こそしているが、皮膚にはじんわりと汗が浮かんでいる。
力任せに引きはがす気力も起きないので沖田の頭をコツンと小突いてみるが、彼はちらりと瞳を上げただけで動こうとはしなかった。万事屋のソファーに並んで腰掛けて、銀時に完全に体重を預けるようにしている。
顎を銀時の肩の上に乗せたおかげで、銀時が視線をずらせば至近距離で目が合う。一度目が合ってしまえば吸い込まれてしまいそうで、視線を剥がせなくなってしまった。
睫毛長ぇなんて思っているうちに沖田の頬に手を伸ばそうとしたところで、銀時はふと我に返った。いやいやいや、何してんだ俺。

「だあーっ、もう、なんか飲み物買ってこい!ほら!」
ごまかすように勢いよく立ち上がり、パンパンと手を叩いて沖田を急かす。
「旦那、俺誕生日なんですけど」
ぐいぐいと背中を押され玄関までたどり着いたところでちらりと振り返り、面白くなさそうに沖田が零す。
「ばーか、知ってるに決まってるだろ」
玄関から放り出され扉が閉まるか閉まらないかのところで、だから神楽も新八も追い出したんだろうが、と小さく吐き出された言葉は、しっかり沖田の耳に届いていた。

「仕方ねぇなァ」
誰に向けるでもなくぽつりと呟くと、緩んだ頬をごまかすように頭をかいた。
階段を下りた所で頭上から銀時の声が降ってきた。
「ついでに蝋燭もよろしく」
にっと笑う銀時にひらりと手を振って歩き出す。彼には飛び切り甘いいちご牛乳を買って帰ってやろう。









お帰りのキス、期待してる













2011.7.8



あきゅろす。
無料HPエムペ!