[携帯モード] [URL送信]
 




手足が凍り付いてしまいそうな寒さ。霜が降りた窓の外を見れば、大粒の雪が絶え間無く降り続け、銀世界を作り出していた。

「おっ。アレンみーっけ!」
ストーブの側で暖を取っていたアレンの背中に、ラビがのしかかる。火の気の近くなので、流石に勢いよく抱き着く事はしなかったが、そのかわりにズシリとアレンに体重がかけられる。アレンは不平の意を篭めて小さく呻き声を漏らしたが、ラビはお構いなしにアレンの首元に手を回した。

「なー、外行こうさ!雪だるま作ろ!」
子供のように目を輝かせ外を指差すラビを横目で見て、アレンはため息を一つ。
「いやですよ、外なんて出たら凍っちゃいます」
「えー。行こうさぁー」
ラビが体を揺するのに合わせてアレンも揺れる。それに抵抗する事はなく、しかし外出には断固として反対する。
「僕が凍っちゃってもいいんですか」
「凍らない!」
「凍る!」
両者一歩も引かず、しばし沈黙が流れる。
しかしそれも一瞬で、ラビはおもむろにアレンから離れると、正面に回り込んだ。首を傾げるアレンに手を差し出す。

「手、繋げば寒くないさ」
ほら、と手を一振りしてニィッと歯を見せて笑う。こうなってしまうと敵わない。
せめてもの抵抗に、ちょっと間を空けてアレンはラビの手に自分の手を重ねた。
隣に並んだラビの楽しそうな顔が目に入って、アレンも知らず知らずの内に笑みを零していた。

「でも、手繋いだら雪だるま作れませんよ」
「あ、本当さ…。名案だと思ったのに!」
そんな会話をしながらも、二人の足は外に向かう。しっかり繋いだ手を、大きく振りながら。










手を繋げば寒くないから








第5期拍手御礼文
2009.12.19〜2010.5.15


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!