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「カザ先生ぇー。プリント持って来ました」
「ああ、ありがとう」
昼休みも半分が過ぎた頃、職員室にプリントの束を持って現れたシゲ。彼は教科委員に当たっていた為、風祭の元にクラス全員分のプリントを回収し提出する役目を言い付けられていたのだ。
彼の登場に、風祭は飲んでいたココアを机上に置いた。シゲからプリントを受け取りながら、彼の視線がマグカップの隣に食後のデザートにと置いてあったクッキーに、一心に注がれている事に気付いた。ちょっとあからさまな、うったえるようなその視線に苦笑いを零す。


「一個、お駄賃代わりね」
言いながらクッキーを一枚手に取り、空っぽになったシゲの手の平に乗せてやる。甘いなぁ、と思いつつも、あんなキラキラした瞳で見詰められては無視出来ない。
「マジで!?先生、おおきに」
クッキーを反対の手で持ち上げながらにこにこと嬉しそうに笑うシゲにつられて、風祭も笑みを浮かべた。

「あ、それならついでにココアも一口」
言うが早いか悪戯っぽく笑いながら、風祭の返答を待たずにシゲはマグカップに口を付けた。
「あっ、…もう、仕方ないなあ」
「(よっしゃあ!間接キス!)」
困ったようにしかし瞳には優しい色を燈しながら笑う風祭は、当然シゲの邪まな思惑など知る由もない。
じゃあ、失礼しました、と挨拶はきっちりして退室するシゲの背中を見送りながら、風祭は自分の頬が自然と緩んでいる事を感じた。










職員室の一角にて








第4期拍手御礼文
2009.9.19〜12.19


あきゅろす。
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