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夕焼けに染まり出した教室。その中で教卓に立つ青年。白い髪は夕日に染められ、キラキラと光る。顔立ちから見れば少年と言っても違和感はないのだが、彼が教師という立場である以上、青年と呼ぶのが相応しいだろう。
そして机に向かう生徒は一人。夕焼けに似たオレンジの髪に、片方の目には眼帯を付けている。隠されていない方の澄んだグリーンの目は、ひたすらに黒板に書かれる文字を追う。


「――じゃあ、補習はここまで」
「はーい」
教師がチョークを置くのと同時に、生徒は広げていたノートを片付け始める。
「…ラビ」
「なんですか?」
「君ならあのテストぐらい余裕でしょう?何で赤点なんか…」
ラビは常にテストではトップクラスの成績だった。しかし、平均点が70点近い今回に限って赤点をとり、唯一の補習組になっていた。これまでの成績から見れば、考えられない事だ。
「アレン先生が補習の担当だって聞いたから」
ニコッと笑うラビに、アレンはため息を漏らす。
「冗談はいいよ」
「アレ?外したさ?」
アレンが頬を染めるのを想像していたのに、呆れ混じりの返答。本気にされていないのが見え見えだ。

「まぁいいさ。先生、俺本気だから、覚悟しといて」
「へ?…んん!?」
「さよならー」
悪戯っぽい笑みを浮かべながらヒラヒラと手を振って、ラビは夕焼けに溶けるように教室を後にした。
唇に落とされた柔らかい感触に、アレンの頬は今度こそ真っ赤に染まった。









放課後の教室








第4期拍手御礼文
2009.9.19〜12.19


あきゅろす。
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