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(学パロ)



溜息を一つ零した後、だらしなく机に突っ伏したラビを、アレンは呆れた顔で見遣った。
机上にはノートと参考書が広げられ、先程までラビが手にしていたシャーペンが無造作に転がっている。アレンはそのシャーペンを広い上げると、ラビの頭を突いた。「ほら、あとちょっとで終わりなんでしょう?」
「もー無理。アレンと遊びに行きたいさー」
「入試終わったら何処へでも付き合いますって言ってるじゃないですか」
突っ伏したままあてずっぽうでアレンの手を掴もうと伸ばした手はアレンにさらりとかわされ、虚しく空をきった。仕方なしに頭だけ机から持ち上げたラビは、なおも不満そうな表情でアレンを見上げた。

「入試終わるまで待てない」
「…刺しますよ」
弄んでいたシャーペンを手の中でくるりと回すと、ラビが出しっぱなしで放り出した芯と目が合った。綺麗な笑顔を作るアレンの背後に何か黒い物が見えた気がして、ラビは慌てて体を起こした。
「やる!やります!」
「よろしい」
凶器だったシャーペンをアレンから受け取ると、ノートに向き合い直した。暫くもすれば、ノートに文字を綴る音がし始める。
アレンはラビの向かいの席に腰掛け、シャーペンの動きを何となしに眺めた。綴られる数式は、何を表しているのか皆目見当がつかなかった。見ているだけで眠くなりそうだ。
「…なあ、アレン」
意識が飛びそうになっていた所をラビの声で引き戻された。返答はせず、ラビをじっと見ながら続きを待った。ラビはというと、勿論視線には気付いているだろうが顔は上げず、参考書に目を走らせている。
「もし万が一落ちたら、慰めてくれる?」
万が一って。
「いやですよ、めんどくさい」
「ええっ!」
ぼそりと吐かれた言葉は、しかししっかりとラビの耳に届いた。情けなく眉を下げて顔を上げたラビとアレンの視線がかちあう。
「大体、ラビが落ちるなんて万が一にもないでしょう?余計な心配しなくていいですよ」
真っ直ぐ澄んだ瞳を向けられ紡がれた言葉はラビを笑顔にさせるには十分だった。正直なところ、合格するには十分な成績ではあるし勿論それに加えて入試対策もほぼ完璧に出来ているので、当日とんでもないミスでもしなければ大丈夫、だとは思う。しかしやはり、不安は尽きない物。

ところがそれが、アレンの一言ですっかり晴れてしまったのだ。
アレンが自分に多大な影響力を持っている事は明確だ。だらし無く頬が緩むのを感じながら、俺が好きになったのがこの子で良かったと、心からそう思う。
「それに、僕だってラビと遊びに行けないの、寂しいんですよ、」
頬をうっすら赤く染めるこの子を抱きしめたいという衝動を抑える術を、俺は知らない。










受験戦争に勝利せよ!













2009.12.1



あきゅろす。
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