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(学パロ≠3Z)



ガラリ、開いた扉とともにのっそり教室に入って来た人物に、教室が俄かにざわめいた。彼、坂本辰馬が学校に現れるのは実に一週間ぶりだったからだ。
そんな周囲の様子など気に留めず彼は真っ直ぐ、頬杖をついて舟を漕いでいる銀髪の元へ向かった。

「よぉ、金時」
「銀時だ。――って、辰馬!?」
銀時は反射的に答えたものの、予想外の人物に頬杖を外して目を丸くする。坂本はお構いなしにニコニコと笑っている。

「テメェ…先週何してたんだ」
「…あれじゃ、ほらあの、シルバーウィーク!」
「それは先々月終わった」
「じゃあプラチナウィーク!」
ねぇよそんなの。金銀銅揃い踏みの方がええじゃろ。
坂本の頭を一発殴って、で?と銀時は坂本に向き直った。
「一人で勝手にプラチナウィークしてた辰馬くんは何で今日、しかも昼過ぎになって学校に来たのかなぁー?」
「銀時くんに誕生日プレゼント貰いに来ましたぁー」
「帰れ。もしくは死ね」
ばっさり切り捨てる銀時だが、坂本は豪快に笑うだけで堪える様子はない。
「ってーかお前鞄は?」
「あ。…忘れた」
「帰れ。もしくは死ね」
あれデジャヴュ?学校来んのに鞄忘れるとかねーよ漫画かよ。
坂本は暫く考え込んだ後、ぽんと手を打った。彼の表情は至って真面目である。
「銀時からプレゼント貰う為だけに来たから、授業は受ける気ないきに」
「死ね。もしくは死ね」
選択肢おかしいぜよ。おかしくねぇよおかしいのはお前の頭だ。

「……ともかく、」
ちゃっかりどっしり銀時の前の席を占領した坂本は、ニッと笑って手を出した。
「プレゼント!」
「……しゃーねぇなぁ」
こうも無邪気に笑われては、渡すより他ない。そもそも坂本に渡す為に用意した物なのだから、意地を張って自分が持っていても意味はないのだ。銀時は呆れたように笑うと、鞄の中からラッピングされた箱を取り出して差し出された手の平に乗せてやった。
おめでとーさん、ありがとう、というやり取りの後銀時はおもむろに立ち上がると、机の横に掛けてあった鞄を肩に担いだ。その様子を坂本は依然銀時の前の席を陣取ったまま、首を傾げながら見つめていた。
「お前、どうせ授業受ける気ねーんだろ?ならどっか遊びに行こうぜ」
視線での無言の問い掛けに答えるように言うと、坂本は目を丸くした。しかし徐々にその表情は笑顔に変わっていき、彼は大きく首を縦に振った。
せっかくのめでたい日にお勉強なんてやってられない。ちょっとぐらい不真面目でもいいじゃないか、それで特別な日に成り得るならば。












日常から抜け出して

















2009.11.15


あきゅろす。
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