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「アレンッ!!後ろ!!」
アレンが対峙するAKUMAを破壊したのと、その背後からアレンに襲い掛かるAKUMAとの隙間に俺が体を滑り込ませたのはほぼ同時だった。
「ラビ!!!!」
アレンに当たる寸前で割り込んだお陰で攻撃を受け止める事も出来ず、メキッと体に打撃が食い込む厭な感覚のあと、俺の体は横に吹っ飛び壁に叩き付けられた。
「かはっ」
あちゃー、吐血。骨も何本か折れたかな。
意識は朦朧としているのに頭の隅でどこか他人事のように考えながら、真っ直ぐ俺に向かってくるAKUMAに対峙する為に何とか槌を構えた。
殆ど力の入らない腕で構えたが、しかしそれは無駄に終わった。後ろに回り込んだアレンが、一撃でAKUMAを破壊したからだ。


ややもすると爆風が晴れ、漸く安定してきた視界にアレンを捉える事が出来た。息を整える事もせずアレンが駆け寄って来た。その瞳は、揺れているように見えた。
「ラビ、大丈夫ですか…!」
「あー…、骨何本かやられたさ。でもまあ、大丈夫さ」
「…、なんで、庇ったんですか」
あ。アレンの声、ちょっと震えてる。
「なんでって、勝手に体が動いたとしか…」
「馬鹿じゃないですか」
せっかく体張ったのに、そりゃないさー。しかし、ポタポタと地面を濡らした水滴に、俺は慌てるしかなかった。
「アレン!?何、どうしたんさ」
アレンは濡れた瞳のまま地面に腰を下ろすと、俺をきっと睨んだ。え、マジで何この反応。

「本当、馬鹿じゃないですか。僕の事なんか庇って、貴方がもし、…死んだり、したらどうするんですか」
語尾がどんどん弱くなっていき俯いていくアレンを、俺はキョトンと見詰める。何だ、そういう事だったのか。
「大丈夫。俺、しぶといんさ」
頬が緩んだ。体がぎしぎしと痛むのもいとわず、俯いたままのアレンの頭を掻き回すように撫でた。
「そういう、問題じゃないです、馬鹿ラビ」
アレンが俺の胸元に顔を擦り寄せてきた。アレンくん、俺その辺りにもろに攻撃受けたの忘れてるのかなー?ちょっと痛いんだけど。
どうやらアレンは分かっていてやっているらしく、自業自得です、と俺の胸元を涙で濡らしながら顔を上げずに言った。緩く笑ってアレンの背中をぽんぽんと叩く。
やっぱりアレンには笑っていてほしい。でも、こんなに心底心配してもらえるのも悪くない。
馬鹿と言われようとも、アレンの為ならば身を投げ出すぐらい俺には簡単なんだ。
君の為ならば、それも幸せ。










for you













2009.10.20



あきゅろす。
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