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「あ、」
10月10日、銀時の誕生日。俺はケーキをプレゼントする為に、万事屋に足を運んでいた。
万事屋まであと数メートル、という所で見覚えのある顔を見付けてしまった。
「ヅラ、テメェもか」
「ヅラじゃない、桂だ。…も、という事はお前もか、高杉」
高杉が指に引っ掛けるようにして持っている白い箱に目を向けた。やつも俺が片手に持つ紙袋に目を向けているようだ。
「念の為に聞いておくが、その袋の中身は?」
「…ケーキだ」
俺の答えを聞くと、高杉はあからさまに溜息をつきやがった。
「被ってんじゃねーか。何だよテメェ、もうちょっと捻れよ」
それを俺だけに言うのか。お互い様だろう。というかやはり高杉が持っているのもケーキなのか。
「俺のはチョコケーキだ。お前は?」
「…フルーツケーキ」
そこは被ってないのか。二人してホッと息をつく。
とりあえず万事屋へ乗り込もう、と意図せずも足並みを揃えて踏み出した所で招かざる客が現れた。

「おー、ヅラに高杉!」
久しぶりじゃなと豪快に笑いながら近付いてくる人物には激しく心当たりがある。きっと俺達と同じ目的だろう。
「げ、」
「ヅラじゃない、桂だ。」
俺達の反応をものともせず、やつはニコニコしたままだ。
「坂本…、テメェ何しに来やがった」
「きっとお前等と同じじゃ」
「…はぁ、やっぱりか」
坂本もしっかり手に紙袋を持っていた。
「…坂本、その袋の中身は?」
「ん?ケーキじゃ」
やっぱり…!!
ああなんだか高杉と同じ事を考えている気がする。…いや、落胆しきるのはまだ早い!種類さえ被っていなければギリギリセーフだ。
「種類は何だ!?」
「フルーツケーキ。ちなみにチョコクリーム」
ダブルで被ったぁぁぁッ!!!!
しかもコイツの実家、結構な資産家だったよな!?質でも負けている気がする…!

渡す前に完全に出鼻をくじかれた俺達は、何も知らずに笑う坂本の隣で意気消沈しながら万事屋に乗り込んだ。まあ勿論、扉を開ける時には立て直したが。
「銀時ー」
「ああ?何お前ら、一緒に来たのか?ムセェ」
「開口1番にそれか」
「一緒になんて来てねぇよ。そこで会ったんだよ」
高杉の弁解を適当に聞き流して、銀時は俺達を居間に通してくれた。

そして、無言で差し出された3つのケーキ。大きさからして、高杉達もホールケーキを買っているのだろう。それを3つ…。しかもそんなに日持ちしないだろうに、流石の銀時でもちょっとキツイかもしれないな。
「何これ」
「プレゼントだ」
「あ、そう。ありがとう」
軽いな!俺達のあの緊張感溢れる問答は何だったんだ。
「あ。神楽に見つからねぇようにしないと」
全部食べる気なのかそうなのか。まあ、リーダーに見付かればあっという間に全てなくなりそうだが。
ぐだぐだと、時間が過ぎていった。












変わらない

















2009.10.10


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