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部活が終わり、皆汗を拭いたり水分補給をしたりしながら、帰る用意を進めていた。ここ最近暑い日が続くが、今日は特に暑い。
拭いても拭いても汗が滴り続けて止まらない。これタオル搾れるんじゃないだろうか。Tシャツも肌にピッタリとくっついていて気持ち悪い。

ペットボトルの蓋を開き、スポーツドリンクを口の中に流し込む。普段は大きめの水筒とペットボトルにお茶やスポーツドリンクを詰め込んで持って来ている。しかし今日は暑くなるのを見越してそれよりも一本多めにペットボトルに持って来ていた。
そして結果的にその読みは正しかった。最後のペットボトルまで封を切ってしまったが、まだ余裕がある。これなら家に着くまで十分持ちそうだ。

「あっ」
隣でドリンクを飲んでいた風祭が声を漏らす。
「どうしたんだ?」
「飲み物、全部なくなっちゃった」
手にしたペットボトルを逆さにしながら苦笑い。ペットボトルからは一滴だけぽたりと水が落ちた。確かにもう空っぽのようだ。
「俺、今日多めに持って来てるから、俺の飲むか?」
まだズシリと重みのあるペットボトルを風祭に向かって差し出す。風祭が少し飲んだ所で、全然差し支えのない量が残っている。
「いいの?水野君の分、足りるの?」
遠慮がちにこちらを覗き込む。少し上目使い気味で、その表情がふと可愛いと思ってしまって、心臓が少し早くなった。それをごまかすように、やや強引に風祭にペットボトルを渡す。
「大丈夫だよ、ほら、結構残ってるから」
風祭は手にしたペットボトルの重さに、納得したようだ。まだ遠慮がちではあったが、それを受け取った。
そのまま風祭がペットボトルに口を付けるのを何となく眺めていた。そして、はたと気付いてしまった。
「(これって、もしかして間接キスか…!?)」

一度そう思うと、一気に顔に熱が集中するのを感じた。何とか考えないようにしようと、タオルで汗を拭うふりをしながら風祭から視線を外した。
「水野君、ありがとう」
視線を逸らしていた俺の前に差し出されたペットボトル。その先を辿れば、ニッコリと笑む風祭と目が合った。また、体温が上昇した。
「ああ」
ぎこちない動きで風祭からペットボトルを受け取る。
どうしよう、体温が上昇したお陰でまた喉が渇いてしまったのだけれど、このペットボトルには非常に口を付け難くなってしまった。
意識し過ぎなのは分かってるけど、飲もうとする度に風祭の顔が浮かんで来るんだ。仕方ないだろう!?
嗚呼もう本当にどうすればいいんだ!?










青春の一コマ













2009.8.4



あきゅろす。
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