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俺と風祭との関係は、中学時代とは大きく変化していた。何と言っても、恋人と言う間柄になった事が一番大きな変化だろう。
小さな事で言えば、三日に一度は必ず電話するようになった事だとか、サッカーを通じて以外で会う事も多くなった事だとか。これらはいわば、恋人になった事の影響による変化だが。

そしてもう一つ、その変化、
「若菜くん、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
風祭が、一番に俺の誕生日を祝ってくれるようになった事。
成長したとは言っても、俺から見たら文句なしに可愛い笑顔で祝ってくれる。その笑顔を見ると、無意識に頬が緩んでしまう。

「これ…、プレゼント」
小さめの、綺麗にラッピングされた袋が差し出される。
風祭は少し照れているのか、俺と目を合わせないように伏し目がちになっている。そんな仕種も、どうしようもなく愛おしく感じる。

「マジで!?サンキュ、開けていい?」
半ば袋に手を掛けた状態で俺が聞くと、風祭は気に入るかわからないけど、と言いながら頷いた。
袋の口を縛っているリボンを解く。
カサリと音を立てながら袋の中に手を突っ込むと、何やらタオル生地に似た感触の柔らかい物が触れた。そのままそれを取り出す。
「おっ!リストバンドじゃん!しかもこの柄、すっげー好みだし」
「ほんと?若菜くんに似合いそうだなと思ってそれにしてみたんだけど」
「ありがとう、すげぇ嬉しい」
思わず風祭を腕の中に閉じ込め、思いきり抱きしめた。
風祭は俺の行動に耳まで真っ赤に染め、わたわたと慌てる。全く、そろそろ慣れてもよさそうだと言うのに、いつまで経っても反応が初々しい。そこが可愛いのだけれど。
手を離してやっても風祭はまだ顔に赤みを残したままだ。

「喜んでもらえて良かった」
その熱を持ったままの顔を崩し、ふにゃりと笑った。そうだな、言うならば花の咲く様な笑顔だ。それはもう可愛いとしか言いようがなくて、
「わっ!?若菜くん!?」
気付けばまた、風祭を抱きしめていた。
またビクリと肩を震わせて驚く風祭。しかし今度は、控えめにではあるが風祭も俺の背中に腕を回してくれた。腕から、背中から伝わる体温がやけに心地良く愛おしい。

この世に生まれた事、風祭に巡り会えた事を心から幸せに思う。










Special day













2009.6.3



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