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今日はディーノさんがイタリアから遊びに来ている。
しかも、母さんが皆を引き連れて買い物に行ったので、今は家の中にディーノさんと二人っきりだ。所謂恋人という仲にある俺達としては、嬉しい事この上ない状況。
…のはずなのに、リボーンが置き土産よろしく残して行った謎の薬ビンのお陰で、俺達には嬉しさを噛み締める余裕なんて皆無だった。

「…ディーノさん、どうしましょう。」
「こういうのは触らないのが一番だ、…多分。」
「でも、出て行く時のあのリボーンの意味深な笑みは…。」
「そうだよな…。いや、でもアイツが置いて行ったんだから、ろくなモンじゃねぇだろ。」
「そ、そうですよね。」
何と悲しいかな、俺達はリボーン相手には正真正銘のヘタレなのだ。…いや、リボーンに限定するのは間違いか。
とにかく俺達は机に置かれた薬ビンをまじまじと見つめながら話し合った。でかでかとこれみよがしに描かれた髑髏マークに紫の液体。これは誰がどう見ても危険物だろう。
「こんなとこに置いてるからいけねぇんだ、移動させようぜ」
「そうですね。」
そう言って、ディーノさんが薬ビンを手にして立ち上がろうとした、その瞬間。
「ぅわっ!」
俺はハッキリと見た、ディーノさんの足が机に引っ掛かるのを。バランスを崩すディーノさん。すると、手にしていた薬ビンの蓋は意図も簡単に外れ――目の前にいた俺に一直線に降り懸かった。
「ぎゃぁああ!」
今日は部下いないんだったぁーーッ!!

が、後悔しても時既に遅し。…何だか頭がムズムズする。なんだ、何が起こってるんだ。
「わ、悪い!!ツナ大丈夫か!?……っ!?」
慌てて上体を起こして謝るディーノさんだが、俺を見て固まった。その視線は俺の頭を捉えている。それを辿るように頭に手を伸ばせば、ある筈のない感触が二つ。
「え…」
「…ね、ねこみみ…!」
「えええええ!!」






――






二人してパニックに陥って数分、何とか気持ちを落ち着けて改めてこの状況を考えてみた。
「これ、元に戻るんでしょうか…。」
「そればっかりはリボーンに聞いてみないとなんともなあ…。」
そうですよね。呟いてうなだれる。明日は学校もあるのにどうしよう、こんな格好で学校なんて行けないよ…。

「かわいい」
ポツリ、呟かれた言葉。この部屋には二人きりなのだから、声の主はディーノさんしか有り得ない。驚いて顔を上げると、ディーノさんはハッと慌てて目を逸らした。
「俺のせいだし悪いとは思ってるけど、でも可愛すぎるだろそれ…。」
ディーノさんが赤くなって言うもんだから、俺まで吊られて赤面してしまった。
「ツナ、…抱きしめてもいい?」
拒む理由なんて存在しない、小さく頷く。優しく俺を包む大きな腕は、心なしかいつもより体温が高い気がする。
「元に戻らなくても、俺が責任取るから」
それって…。
また体温が上がる。
どうかこの煩い心音がディーノさんに聞こえませんように。

皆が帰って来るまでのこの時間、あともう少しだけこのままで。









引き金に手を掛ける












第一期拍手御礼文
2009.3.3〜5.22



あきゅろす。
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