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体育館いっぱいに、ボールがバウンドする音と、シューズが地面を蹴る音が反響している。今、体育館では、バスケットボール部が練習試合をしている真っ最中だ。
その体育館の2階にあるギャラリー部分の手摺りに体重を預けて、下を見下ろしている七原。彼の目線は、ひたすらに三村を追っている。しかし、何となくぼうっとした様子で、焦点が合っていない様にも見える。
正しくは、見とれているのだ。
普段とは違う、真剣な目つきに。一際目を引く、華麗な動きに。

ピーッ
試合終了のホイッスルが鳴り響く。試合は、城中の圧勝に終わった。
勝因は三村の活躍による所が大きい。第三の男の名に恥じない素晴らしい活躍ぶりであった。
彼の活躍の奥底には、応援に来ている七原に、何とかかっこいい所を見せたいという不純な動機が含まれていたが、その願いは叶ったしお陰でチームも勝利を収めたしで結果オーライだ。


そして帰り道、七原と三村は二人で並んで下校していた。空は薄く茜に染まり、気温も過ごしやすいものになっている。
「お疲れ」
「おう」
「三村、かっこよかったよ」
少し照れたように微笑む七原。
「おっ、もしかして惚れ直しちゃった?」
七原の表情に高鳴った鼓動を隠す様に、ごまかす様に、冗談めかしく笑いながらウインクを一つ。
「バーカ」
そんな三村の意図はお見通しらしい七原は、クスクスと笑う。三村もつれないなぁ、と言いながらつられて笑う。

「惚れ直すも、これ以上ないってくらいに惚れてるっつーの」
とんだ不意打ちだ。
笑う七原の顔には夕日が差し、瞳はその光を反射してきらきらと輝き、頬はその光に照らされて赤く染まっている。綺麗、という言葉がこれほど迄に似合うものを見たのは初めてかもしれない。
「三村?」
きょとんとした七原に覗き込まれ、三村ははっとなった。思わず七原に見とれていたのだ。
「〜っ、あー、もう、」
ガシガシと頭を掻くと三村は、いつもより少し強引に七原を自らの腕の中に収めた。
「み、三村?」
今度は夕日の為だけじゃない、自らの熱のせいで頬を赤く染めた。
「七原、可愛すぎるよ…」
髪の合間からのぞく三村の耳が赤かったのは、夕日の為か、それとも、










染まる














2009.5.23


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