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いつからやろう。こんなにも君が愛おしくなったのは。
物事に執着する事もせず、何にも熱くなる事もない。そんな少し前迄の俺。
やけど、今では随分変わってしまった。サッカーに心血を注いでいる。ボールを蹴るのが楽しくて仕方ない。

何より、カザに恋をした。
いや、そんなに綺麗な感情ではないかもしれん。寝ても覚めても頭に浮かぶのはカザばかり。表面上は冷静を装って笑顔を取り繕っているけど、カザが俺以外のやつと話したり、あまつさえ笑顔を向けたりしようものなら、俺の心中は嫉妬の炎が荒れ狂う。
今まで何にも執着して来なかった分、その反動で初めて愛しいと思ったカザにこんなにも捕われるのかもしれない。
なんて。そんな事を深く考える余裕だって、本当は全然ない。あるのは、自分でも驚く程の、持て余す程の独占欲。カザの全てを俺の物にしたい。
こんな変化を、俺は嫌やとは思っていない。少なくとも、現時点では。


そんな俺は今、ひたすらに地を蹴っている。向かう先はカザの家。
何てったって、今日は愛しいカザがこの世に生を受けた日なのだ。本当は日付が変わる瞬間に祝いたかったのだけれど、さすがにそんな時間に訪ねて行くのは非常識だという判断が出来るくらいの余裕はある。
そして今年の今日は生憎休日で部活もないので、学校で顔を合わせる事はない。だから日が登りきった今、こうしてカザの家に向かっているのだ。
右手には、プレゼントが入った小さな紙袋。喜んでくれるやろうか。
そんな思案をしつつも足を動かし続けると、カザの住むマンションが見えて来た。
鼓動が速まる。勿論それは、此処まで走って来た事だけが原因ではない。
突然の事やからカザは驚くやろうか。驚く顔も見てみたいな。俺の頭の中にはカザの事以外何もない。ぐるぐると、熱を帯びた想いが渦巻いている。

一気に階段を駆け登り、玄関の前に立つ。軽く息を整えようとしてみたが、気持ちが逸ってどうも上手くいかない。
そしてインターフォンを鳴らすと、一拍置いて応答があった。
『はい、どちら様ですか』
聞き慣れた澄んだ声が、機械越しに聞こえた。俺は、口元に笑みを携え口を開く。


さあ、俺を支配して仕方ないこの想いを、祝福の言葉と共に伝えようか。
この、燃えたぎるような熱く醜く純粋な愛しいという想いを。










燃え上がったら止まらない














2009.5.9


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