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今日は4月1日。エイプリルフール。嘘をついてもいい日。
これにのらん手はないやろう。

部活が終わり、家への帰り道。隣を歩くのはカザ一人。
今まで他愛のない話をしながら歩いていたけれど、唐突に足を止めた。カザは2、3歩進んだ所で立ち止まり、首を傾げながら振り返る。
「どうしたんですか?」
「なあ、カザ…」
カザが黒い瞳をこちらに向けるのを確認して口を開く。
「タツボンな、カザの事好きらしいで。」
「……へ?」
「因みに恋愛の方の意味で。」
「…えええええ!?」
可愛いなあ。目をまあるく見開いて驚くカザに頬が自然と緩んでしまう。
ぽかんとするカザをしばし堪能した後、俺は堰を切ったように笑い出した。カザはますます首を傾げる。頭の上に疑問符が見える気がする。

「カザ、今日何の日か知ってる?」
「へ?えーっと、4月1日…ですよね?」
相変わらず疑問符を浮かべたまま暫くうんうんと悩んでいたが、思い当たったらしい。はっと伏せていた顔を上げた。
「エイプリルフール!?」
「正解!」
「…も〜!ビックリしましたよ!」
まあ、一概に嘘とは言いきられへんねんけど、そこは今は置いておこう。
頬を膨らませるカザはやはり可愛い。そんなカザの頭にぽんと手を置く。
「俺はカザの事好きやけどな。因みに恋愛の方で。」
「え、ええ?シゲさん!?」
俺が歩き出すと、慌てたカザの声が追って来る。
勿論嘘なんかじゃないけど、暫くは曖昧なままにしとこうかな。










真実は、














2009.4.1


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