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朝日が窓から降り注ぐ、目覚まし時計の機械音で眠りから覚める、制服に着替える、朝食を食べる、歯を磨く、顔を洗う、テレビの占いコーナーに何気なく耳を傾ける。

まだや。

ゆっくり歩いて登校する、下足で靴を履き替える、教室に入る、自分の机に無造作に鞄を置く、着席する。

まだ。

ガラリと幾度目か教室の扉が開く音がする、そちらに目を向ける、黒い髪の愛らしい子が目に映る、目が合う、その子がこちらに向かって歩いて来る。

あとちょっと。

「シゲさん、おはようございます!」
声変わりしていない、高めの声が鼓膜を震わす。こちらに向けられる屈託のない、太陽の様に眩しい笑顔。今は自分にだけ向けられる澄んだ瞳。何の変哲もない朝の挨拶。

「おはよう、カザ。」
愛しいこの子に挨拶を返す。因みに飛び切りの笑顔のオマケ付き。他の奴にはこんなオマケ、なしやで。

そして、漸く俺の一日が始まった。

朝目覚めた時でもなく、他のやつとおはようと挨拶を交わした時でもない。
俺の一日の始まりはここから。
この愛しい子が始まり。












スタートの合図

















2009.3.27


あきゅろす。
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