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君の側で
7
裕也と横山の一連のやり取りに気付いていた正喜は、二人の間に何かあったのではと予感した。

昨日一緒に下校した時に感じた裕也の違和感もここからきているのだろうか。

そう思い立つと考えるより先に裕也の席まで向かっていた。

「裕也、お前やっぱり何かあったんじゃないか?…原因は…横山か?」

すると裕也は慌てた様子であたふたと否定をした。

「えっ!?!?な、何言ってんの!本当に何でもないってば〜!」

その慌てぶりを訝しげに見ていると、さっきまで生徒と談笑していた横山がいつの間にかこちらに近付いていたことに気付いた。

そして裕也に寄り添いその腰に腕を回し、より密着させるように抱き寄せた。


「―っうわぁ!なっ…!」


何するんだと続くはずの言葉は横山の発言によってひっこんでしまう。

「何もないなんて寂しいこと言うなよ、あんなことした仲なのによ」

低く色を含んだ声で囁かれて顔を真っ赤にした裕也が更に慌てたように、横山の拘束から逃れようと抵抗し始めた。


そんなやり取りをする二人に、正喜はやはりと思い、嫌悪からか眉を潜めてしまう。

「横山先生。あなたは教師の身でありながら裕也に手を出したんですか」

そんな問いをする正喜をけだるげに見遣り、お前には関係ないだろう?と横山は悪態をつく。

「仮に手を出したとして、教育委員会に言えば俺は即クビだ。でも浅居はこの学校で生活し辛くなるだろうな。」

それでも言いたければ言えばいいとばかりに横山は正喜を見つめた。

正喜は曲がったことを嫌う真面目な性格ではあるのだが大事な友人を窮地に追いやることは決してしないと分かっていての言動だった。

「い、いやいや、ってゆーかそもそも手出されてないし…!センセーがふざけて言ってるだけだよぉ!」

クビだとか教育委員会とか何やら凄い展開になってきたので、裕也は何とか誤解を解こうとしたのだが、
正喜にはその様子が横山を庇おうとしているように見えて更に眉が寄る。

「…勝手にしろ。」

突き放すような言葉が出てしまった事に正喜自身も驚きを隠せなかったのだが、もう止められなかった。

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