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君の側で
5
何やら騒がしいと筆を止め、振り返ると裕也の姿があった。


「居残りはもう終わったのか?」


「思ったより早かったな」と言って、優しく微笑んだ正喜にドキリと胸が鳴った。
(〜〜っ!)

じわじわと顔が熱くなって、自分が赤面していることを自覚せざるを得ない。


「丁度切りが良いところなんだ。帰ろう」


そう言った正喜の言葉に頷く事しか出来なかった。



帰り道、いつものように他愛もない話に花を咲かせていたのだが、裕也に普段のような元気がない。

自分が踏み込んでいいものか一瞬考えたが、元気のない友人を放っておくことは出来なかった。


「今日は元気がないように見えるが…何かあったか?」


正喜のその言葉に、はっと息を詰めた。

次いで思い出されたのは、放課後の準備室での出来事。
自分は横山に抱きしめられキスをされた…。

一瞬顔を歪めたが、すぐに取り繕うように言葉が出てきた。


「い、いやぁ〜今日の居残りのプリント量が多くてさぁ〜、オレ滅多に勉強しないから疲れちゃったのかも〜!」


えへへ、と頭を掻いて何とかごまかす。

そんな裕也に少しの違和感を覚えながらも正喜はそれ以上は踏み込むべきでないと線を引き、新しい話題を出してきた裕也の話を聞きながら家路につくのだった。

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