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君の側で
16
――ガチャッ

扉が開く音にビクリと肩を揺らした。
次いで誰かがカーテンをそっと開け、こちらを覗き込む。

「っ!!…何をしているんですか」

保健室に入ってきた人物は正喜だった。
裕也たちの状況に目を見開き驚きを隠せないようだ。

「…見て分かんねぇか?」

「合意でないことは分かります。出て行って下さい」

「…チッ…」

悪態をつきながら裕也の上から退くと、正喜を睨み付けながら去っていった。

静まり返る空気に気まずさを感じながらも動くことすら出来ない。あのまま正喜が入って来なかったら、と考えると恐ろしくなって震えが止まらなかった。

「…大丈夫か?」

「ぁ、…う、ん」

そんな裕也の弱々しい返事を聞くと正喜は眉根を寄せ、悔しげに顔を歪めた。

「お、俺は…大丈夫だか…っ!」

全て言い終える前に正喜に抱きしめられていた。
裕也は一瞬何が起こったのかわからなかったが、正喜の温もりを感じ安堵したせいなのか、先程の出来事に対しての恐怖心を素直に表した。

「すまない…!俺が裕也を運んでいたらこんなことには…っ」

「委員長…、こわか、た…ぅぅっ」

怖かった助かった嬉しい、裕也の中に色々な感情が渦巻き、涙となって出てくる。
背中を撫でてくれる優しい手に安心しきってしまい、嗚咽が止まらない。


ずっと抱きしめたまま落ち着くまで待っていた正喜にお礼を言いうと、裕也は話を始めた。

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