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君の側で
9
正喜と会話をしなくなってから一週間が経ち、
俺は笑い方を忘れてしまったようだった。

(次の授業はサボろうかなぁ…)

いつものサボり場所である屋上を目指しながら廊下をフラフラと歩いていると、不意に後ろから声を掛けられた。


「…よっ!」

「っ!…なんだぁ〜増田かよ」

「なんだぁ〜って何だよ!最近元気なさそうだから心配して声掛けてやったっつーのによ」

「別にそんなこと…」

「あるだろーが」


会話をしながら歩いていると、いつの間にか屋上に到着していた。


「…で、何で着いて来てんの?」

「まぁまぁ〜気にしない気にしない!俺もサボりたかったんだよ」

「意外だね」

「あれ?俺ってそんなに真面目そうに見える?」

「そう言われれば…見えないかも」

「だろ?」


わははと明るく笑う増田につられて裕也も笑みを零した。


「あ、やっと笑ったな」


そういってワシワシと頭を撫でてくる増田の腕を押し退けようと抗うと、あっさり離れていった。

それから晴れた空をただ眺め、ゆっくりとした時間を過ごしていると増田が口を開いた。


「最近あいつ―…黒川の様子が変なんだ」

「え?」

「部活に来ても何も描かないんだ。全然集中できねぇって感じでさ」

「……」

「おかしいなーって思ってたら、お前も元気ねーし。お前らなんかあった?」

「…――」

「話したくないならそっとしとくけど、これでも一応浅居のこと応援してっからさ、…」


増田の優しさに胸がきゅっと締め付けられた。
「力になりたいんだよ」と優しい眼差しを向けられて仕舞えば、話すしかないかと諦めるしかなかった。

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