いっぱち物語(仮)
8
にしても痛い。
会長ってばマジにすんだもん。
しかもボクサーみたいな繊細なもんじゃない。最小限の動きでダメージを与えるんでなく、ただ怒りに任せて打ち落とされた。叩き込まれたなんてかわいいもんじゃねーよ。腰も肩も思っきし入ってて、どんだけハードパンチャーだよってゆー。
しかしまっじー。口ん中鉄臭い味が広がってて、そーいやガキん時ってそこら辺の表現が出来んかったなー。転んで怪我して血ぃ舐めて、デジャブってんのにその味に何とも表現出来んくて、誰かが「ホニャラララの臭いの味がする」っつって、目からウロコだったもん。それだ!!って。
にしても痛い。
「ずびっ。……あ」
――ポタッ
ありゃまありゃま。鼻血だよ。やっべーティッシュとかねーべ。どーすんべ、これ。
とりあえず袖で抑えて辺りを見回す。あー、見られてる。まー鼻血ブーだもん、気になるよなそりゃ。
小走りでその場を離れ、校舎を出る。
よかった。痛かったけど、脳みそにも足腰にもそこまでキてない。
こんな顔、いつまでも表に出しとけないかんね。授業があれだけど背に腹は変えられねー。さっさと冷やさにゃー腫れが酷くなんじゃん。
二重にしたビニールに氷を入れてほっぺに宛てる。
あうち!マージでチョー痛いんですけどー。
ソファに座ると自然とため息が出てきた。
「は〜あ〜…」
ズルズルと体がずり下がる。体制直す気にもなんねーよ。
「……かいちょー…」
これはチャンスだと思うのね。だって今まで、もじゃが来てからしなかった仕事をしたんだよ。まー、かんなーりー中途半端だったけども。あんだけ挑発したんだかんさー、きっとしてくれる、はず、だよ、ね?うん。
だからさ…
泣くなよ、オレ。マジちょーうっとーしいんスけどー。
「――ッ、ずび、…ん」
はぁぁぁぁぁぁ。泣くな。マジ。
上を向いてゆっくり息を吐いてると、ケータイが鳴った。
『あるぅ貧血♪森のな浣腸♪クマさんニンニク♪出会あタンコブ♪花咲ーくーもーりーのーみーちんぽこデッカい「待て。何だそ」…あるぅ貧血♪森のな浣腸♪クマさ』
……………何か鳴ってる。
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