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いっぱち物語(仮)

その後、満足そうに笑った本宮君は僕を食事に誘ってきた。

勉強があるからって断ると怒って、訳がわかんなくて、「俺が誘ってんだから行くぞ!そんなんだから一平は友達が出来ないんだよ!!ちょーきょーせーってやつ持てよな!!」とか。いや、協調性だろ。わざとなんだろうか?協調性も満足に言えない人間が編入試験をパスしたとは考えにくい。試験にどんな問題が出るかなんて知らないけど、入試の問題レベルは高かった。授業内容だって、他と比べて難しいと思う。

そこまで考えて、そう言えば理事長の甥だったと思い出す。平凡がどうとかこの編入生は言ってたらしいけど、こいつの家が中流でも、どうやら理事長はこの甥が可愛いらしい。一人部屋をわざわざ甥の我が儘を聞いて二人部屋に変える程に、安全牌である僕を調べる程に。なら、裏口入学だと言われても不思議じゃない。何てったって理事長なんだから、その辺の事は比較的簡単に出来たんじゃないかな。

と言うか、何で友達が居ない事になってるんだろう。

随分失礼だ。

口端が引き攣るのがわかったけど何とか作った愛想笑いで、荷物の整理をした方がいいとか何とか説得してその場は逃れた。

本当その場だけだけど…






ハッキリ言って勉強になんなかった。

ガチャガチャ、ドタバタ、見れば整理と言うより散らかしてるだけで、独り言かギャーギャーうるさい。でっかい声で歌いながら、散らかすから物を踏んで転んで……うるさい……目が合うと、途端に喜色を浮かべて「勉強終わったか!?」と問うてくる。

うるさい。終わるわけないだろ。うるさいんだよ!

「あの…ごめん、本宮君。もう少し静かにしてくれる?」

僕としては頑張った。けど、何かが彼の癪に障ったらしい。

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あきゅろす。
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