いっぱち物語(仮)
2
「知ってるか?編入生来んだってよ!」
「あ゙ー…知ってる…僕の同室者だってさ」
「は?お前一人部屋じゃん」
僕は友人に事の次第を説明した。
「あー…はは、は…ドンマイ?」
「他人事かよー…ゔあ゙〜!」
「ははは!ま、もしもん時は俺の部屋来ていいからさ!な?」
そう言えば友人は二人部屋。だが生徒数の関係で一人でその部屋を使ってる。
「お譲りします」
「お断りします」
こん時はまだ気楽なものだった。
アイツは悪魔だ。
そんな事、予想できるわけないんだから。
「お前が同室者か!?俺は本宮 星輝!!よろしくな!!」
引く。
何だこいつ、キモい。
編入生の印象はとても悪いものだった。
今時のおしゃれ眼鏡とは程遠い、ただフレームとレンズがデカいだけの、どれだけ古いのか黄ばんだ分厚い眼鏡。それに被さるボリュームのあるボサボサの髪。ナチュラルヘアとか聞こえのいいものでなく、不精だろこれ。それか鬘。何か頭デカいし。服もよれよれだし薄汚れてる。アイロンをかけろとは言わない。でも、普通に洗濯しただけでもここまで皺くちゃにはならないだろ。近くに居るのに張り上げられる声。僕は難聴と言うわけではないのに。
見た目は不潔としか言いようがない。フケでも落ちて来そうだ。なのに無頓着なのか、引け目を感じる事もなく、やたらに元気がいい。
図太い、と言う言葉がかわいく思えてくる。
「おい!無視すんなよ!よろしくって言ってんだろ!無視するなんて最低だ!!」
数秒言葉を発さなかっただけでこの言いよう。はっきり言ってよろしくしたくない。でも…
「あ…うん…僕は平山 一平。よ、よろしく…」
そんなの言えるわけがないから、上辺だけでもよろしくしとこう。
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