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いっぱち物語(仮)

極彩色の外見でも、随分下卑た物言いをする人だと思う。飾らないと言うのか、いい寝起きと言えないからかもしれないけど、それでも過剰と言える攻撃的な言葉に面食らう。

それにしても、取り巻き達が居る前で安易過ぎやしないだろうか?学園内では生徒会役員として権力はあるかもだけど、世間一般で言えば立場は僕とそう変わらない。世界にその名が通用する役員達と違って、一先輩は千円のランチに渋るような一般家庭の人だ。地位も名声も財力もある役員の中ではイレギュラーな存在。僕と同じ特待生。頭はいい筈なのにあまりに考え無しな発言。

でも、その疑問もすぐに解けた。



「引き付けてやっから、その間に出て行きなよ」



通り過ぎ様、僕にしか聴こえないように話す一先輩。

少し屈んで、耳元に唇を寄せられて、距離感が掴めなかったのか微かに柔らかい感触。それに、いい匂いがした。

香水じゃなくて、お香の柔らかい香り……

心臓がドコドコ鳴ってうるさい。

彼の香りを閉じ込めるように息が詰まって呼吸がしにくい。

温もりを感じた耳からジンジンと痺れる。

なんて魅力的な人だろう。

なんて優しい人なんだろう。

声は潜められても流石に視界を遮断する事は出来なくて、僕に顔を近付けた事を訝しんだ星輝に詰め寄られてる。「野暮な事聞くなよ。えっち」なんて叩く軽口に顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら抗議してる。

わざと誤解されるような言い回しで、言った通りに自分に引き付けて、僕を逃がす、逃げ道を作ってくれる。

僕が生徒会室を出るまで、奴等の目が僕を向く事はなかった。

嬉しかった。

僕を助ける人が居てくれる。

胸が温かい。

まるでヒーローだ。

そんな事を思っていた僕は滑稽だったに違いない。

彼が僕に嫉妬していたなんて知る筈ないんだから…

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あきゅろす。
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