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第04話 郵便受けとお金


今日は金ちゃんと俺の制服を買いに行く日。

俺たち二人だけだと不安だったから、隣に住んでるおばさんについてきてもらう事にした。


「制服って高いでしょうに…お金はあるのかい?」

「うん」

「……ご両親が用意してくれたの?」

「…うん、そうだよ」


あ、金ちゃん嘘ついてる…
本当は誰が用意してくれたのか分からないのに…


家には俺と金ちゃんしか居ない。
だけどお金の心配はいらない。

それは郵便受けにお金の入った封筒が入れられてる時があるから。
誰からなのかは分からない。


でも、俺たちが生活に困らないですむくらいのお金が二日に一回入ってる。今日みたいにお金が必要な時は、郵便受けにその事を書いた手紙を入れる。

そしたら次の日にはお金が入ってるんだ。


もちろん最初は、俺も金ちゃんも怪しいからって郵便受けに入れたままだった。でもやっぱりお金っていうのは必要なもので…すぐに生活していくのに困った。

だから仕方なく使い始めた。


最初はびくびくしながら買い物に行ってお金を出してた。でももうすっかり慣れて普通に使える。



最近になって、俺と金ちゃんは思ったんだ。このお金はきっと父さん母さんがくれてるんだって。

なんでそう思うのって理由を聞かれたら答えられないけど…なんとなく、そう思うんだ。そう信じれるんだ。



「おばさん、今日は付き合ってくれてありがとうございました」

「いえいえ。
また何かあったら言ってね」



俺と金ちゃんは自分の制服が入った袋を持って、真っすぐに家に帰った。


そして一番にしたことは…、

手紙を書くこと。


‐‐‐‐‐

今日は、となりに住んでるおばさんについてきてもらって制服を買いに行きました。あまったお金は返します。

ありがとうございました。

‐‐‐‐‐




「…よし、これでばっちりっ」

「じゃあ入れてこよっ」

「うんっ」


俺たちが手紙を書いて、その返事の書かれた手紙が入ってたことはない。
でも、俺たちが書いた手紙は絶対になくなってる。

それは受け取ってくれてるからだよね?


名前も顔も分からない、どんな人なのかも分からない、けど間違いなく俺たちのことを想ってくれてる。

だってお金をくれるし、たまにお菓子も入ってるから。



いつからか、郵便受けにお金を入れてくれる人のことを俺と金ちゃんは“父さん”と呼ぶようになった。もしかしたら母さんが入れてくれてるのかもしれない、でも俺たちは…どうしてか、“父さん”と呼んだ。





「銀、明日は入学式だね」

「うん。
友達…作らなきゃね」


「いっぱい出来るさ!
じゃあ今日は手紙書いてもう寝ようか」

「うんっ。
明日の朝忘れずに入れて行かないとね」












‐‐‐‐‐

おはようございます。
今日は入学式があります。

おれたちは中学生になります。
たくさん友だちを作ろうって2人で決めました。


それじゃあ、行ってきます。


金時と銀時より
‐‐‐‐‐






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