変態だけど嫌いになれない
最近のアタシの悩みは、
「パー子、ちょっとこっちに来なさい」
この心配性な変態お兄ちゃんのことです。
「なによ、アタシ今から出かけるんだけど」
「…その格好で出かけるつもりかなパー子ちゃん?」
「その格好って…別に普通の私服じゃないの」
「いや、スカートが短すぎです」
アタシが抗議すれば、するりと腰に手を回して抱き寄せられる。
坂兄は弁護士で、頭がいい。
だから口で抗議しても適うわけがない。
でも抵抗しないとすぐ調子に乗っちゃうから大変なのよね。
「その服で外に行くのはやめなさいパー子」
「なんでよっ。
そんなのアタシの勝手…ひゃ!?」
腰に添えられてた手が下にいっていきなり内股からお尻まで撫で上げられる。
…その手つきはかなりヤラシイから嫌なのよね…ちょっと感じちゃうし。
「ちょっ、何すんのよ変態!!」
「……もしその服で出かけたらこういう事されるかもしれないんだぞー。パー子の綺麗な脚に欲情する奴だっているんだから」
だからって道端でこんな事してくる奴なんていないでしょ。
というか坂兄が触ってくる必要なんてないんじゃないの?
坂兄は、まぁ…見た目は格好よく見えなくもないけど、ものすごく変態。
そりゃあ一番変態なのは金ちゃんだけど負けないくらい変態なのよね長男の坂兄は。
「…やッ…ん…ちょっと…いつまで触ってんのよっ」
「パー子が『今日は出かけないでだーい好きな坂兄と一緒にいる』って言ったら」
「そんな事言うわけ…っ!?」
お尻を撫でてた手がアタシのパンツに手をかけて少しだけ脱がす。
そして直接お尻を撫でられて今度は揉まれちゃう。
「っ…やだっ、離してっ」
「パンツまで女物のだなんてお兄ちゃん知らなかったんだけど」
「そ、なの…教えてないから…当たり…前…でしょっ」
「はぁ…お兄ちゃんは悲しい」
やっと手を離してもらえたけど、アタシはもう1人じゃ立てないくらいになっちゃって…今は坂兄に抱きついて立っている状態。
坂兄は悪びれた様子もなくて、にこにこしながら頭を撫でてアタシの頬にキスしてくる。
やっぱり坂兄には適わない。
でも悔しい。
だから隙を狙ってこの変態の股間を蹴って逃げようかとか思った。
まぁそんな事したら帰ってきた時に仕返しされるのが恐ろしいからしないけど。
「今日は俺と過ごそうな」
「……セクハラしないならいいわよ」
「…今日はやけに優しいなぁパー子ちゃん。
やっぱり俺のことが大好きなんだね」
「べ、別に…ただの気まぐれだからっ」
あぁ、やっちゃった…
坂兄のこの笑み…明らかに何か企んでる感じがする。
「ツンデレなパー子も可愛い」
「っ…」
やだ、恥ずかしい…
金ちゃんにだって滅多にデレないアタシがいとも簡単に…
「ん…ふっ……」
「…っはぁ…その顔堪んないなぁパー子ちゃん」
執拗にキスばっかりしてくる坂兄の顔にはドSな笑みはなくて、どこか嬉しそうに見えた。
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