本当の気持ち
苛々する…
絶対許さねェ…
「…晋助、おぬしの恋人が来たでござるよ」
「…………」
「……晋助、」
「帰らせろ」
今はアイツの顔なんざ見たくねェんだよ。
今頃やって来やがって…ふざけんじゃねェ。
「…帰らせろと言われてもな…」
「あ"ぁ?
いいから帰らせろっ!!」
「それはないぜよ晋助〜」
「…!!」
コイツ……っ
本当に自由な奴だな…
勝手にここまで入ってきたのか…
「会いたかったぜよ晋助ー♪」
「ち、近寄んなっ」
会って早々抱きついてくるな。
馴々しくするな。
気安く話しかけんな。
「んー?
どうしたんじゃ晋助〜?」
「…………」
コイツ…覚えてねェってのか。
…腹立つ…
「……晋助…」
「いい加減離せクソモジャ!!」
さっさと帰りやがれ!!
そう怒鳴って突き飛ばした。
突き飛ばした後に、後悔した。
これじゃあ嫌われちまう…
「…た…辰馬っ」
「…悪かったぜよ」
え…
辰馬…まさか……
慌てて辰馬の顔を見る。
辰馬はじっとこっちを見つめている。
「…今日はもう帰るきに」
そう言って立ち上がる。
辰馬が…行っちまう。
「っ…辰馬!!」
ガシッと腕を掴んだ。
辰馬がいなくなると思うと、無意識に体が動いた。
「…行くな…行かないでくれ……辰馬」
「…晋助…」
ぎゅっと抱き締められた。
さっき感じた苛立ちはもうない。
すげェ…安心する…。
「晋助……遅くなったが…
誕生日おめでとう」
「!!
……遅ェよ…バーカ…」
もうとっくに誕生日は過ぎているのに、コイツに言われるとすげェ嬉しい。
「…わしは晋助が大好きじゃ」
「っ…俺…も……」
本当は怒ってなんかなかった。
ただ、寂しかったんだ。
辰馬が…俺の事忘れちまったんじゃねェかって、怖かったんだ。
こうして…辰馬に抱き締めてほしかった。
ただそれだけだった。
「辰馬ァ…」
「何じゃ?」
「…来年は、ちゃんとその日に言えよなァ」
「…フ…わかっちょるぜよ」
END
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