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 一人で無理なら二人で


誰も俺を必要としない
誰も俺を愛さない
どこへ行っても俺は独り

そんな事はとっくに分かってた。
けどやっぱり独りは嫌で、居場所を探してた。

俺を必要としてくれる奴
俺を愛してくれる奴
傍に居てくれる奴

そういう奴はきっと居ると信じてた。





やっと出来た大事なモンは、ことごとく消えていった。
先生や仲間、俺にとって大事な人たちはみんな…この手の届かない所へ逝っちまった。

失いたくなくて、全力で護ろうとした。でも結局は護り通せなかった。


もうこんな思いはしたくなくて、独りで生きていこうと決めた。

けどいつの間にか、また大事なモンが出来てて…毎日毎日それを護るので精一杯。


俺にはこの荷は重すぎる、そう思う事はあっても手放す事は出来なくて、ずっと抱えてる。


そんな時に、アイツから告白された。もちろん俺はスルーした。
でも、それでもしつこく俺にまとわりついてきた。

もうこれ以上は抱えきれねぇよ…なのにお前も、俺に支えてもらおうとすんのか。俺の両手はとっくに塞がってんだ。


「…銀時、好きだ」


本当なら…俺を愛してくれる奴が現れたってすっげー喜んでるはずなのに…今の俺にはそんな余裕はない。

この両手で抱えてるモンを護るので精一杯だから。


もしここで甘えたら、全部失っちまうんじゃねぇかって…そんな風に考えちまうんだ。

所詮俺には、甘える暇も休む暇もねぇんだ。この命が尽きるまで、苦しみ戦い続けるしかねぇんだ。



「銀時、」

「もう俺に近づくな」

「そりゃあ無理な話だな」

「……」

「…甘えたっていいんだぜ。
弱音を吐くのも、休むのも、たまにはしていいんだよ銀時」

“だから…もう独りで苦しむな”


…嬉しかった。
独りで苦しまなくていいと言われて…
土方に抱き締められて…


「…でも、ここで甘えたらっ」

「失うのが怖ぇなら、俺も一緒にお前の大事なモン護る。二人でなら苦しくてもやっていける、だろ?」

「っ…ひじ…かた……」









―あれから数ヶ月…、俺と土方はほとんど毎日一緒に居る。というか、俺が土方の傍に居てぇだけ。

ババァの話によれば、最近の俺は変わったらしい。なんか前より生き生きして肩の力が抜けた感じなんだとか。

まぁ…間違っちゃいねぇかな。
土方に告白されて付き合い始めてから、俺は毎日が楽しくなってきた。生きる事が苦しいだとか、感じなくなったし。

これも全部、土方のおかげ。



「おい銀時、んな抱きつくなって…身動きすらとれねぇだろ」

「んだよ、お前万更でもねぇんだろ?嫌そうな顔してねぇし」

「それは…まぁ…少しある」

「ならいいじゃねぇか」


苦笑しながらも頭を撫でたり抱き締め返してくれる土方がすっげー大好きで、つい甘えちまう。


「…土方、さんきゅーな」

「あ?何がだ?」

「色々とだよ色々と!
…大好きだぜ、土方くん」

「わけ分かんねぇ奴。
…俺も大好きだ、銀時」



土方が傍に居てくれるから、一緒に大事なモン護ってくれるから…もう俺は大丈夫。

土方と二人でならやっていける、根拠はねぇけどそう思えるんだ。
そんだけ、俺にとって土方の存在は大きいものになったって事か。


END





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