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 恋人同士だからこそ


俺の恋人は、ぶっきらぼうでヘタレですぐ発情する変態で…女にモテる。

そんな恋人と、今日は俗に言う初デート。と言っても別に行く所もないから散歩に行くようなもの。
でも土方と居られるだけで俺はすっげー嬉しい。一緒に出かけようと誘ったのは俺で、土方は特に困った様子もなくOKしてくれた。

散歩みたいなものと言っても、デートには変わりない。だから一緒に喫茶店に行ったりとか、手を繋いで歩いたりとかするもんだと思ってたんだ。

なのに……


「………」

「………」

今は待ちに待ったデート中。
万事屋に居る時はたくさん話をするのに、外に出ると土方は全く話し掛けてくれない。

…なんでだよ…土方…


話すどころか、手を繋ぐことも並んで歩くこともしてねぇよ…?
土方ぁ…俺より前を歩いてるの…気づいてる?

俺が出かけようって言ったのは、ただ外に行きたかったのが目的じゃねぇんだよ。なぁ、頼むからこっちを見てくれよ土方。


俺と出かけんの嫌だったんなら正直に言ってくれりゃよかったのに…こっちの方が傷つくっつーの。


「…やっぱ帰る」

「…あ?
まだ外に出たばっかだろうがよ」

「…土方と一緒に居たくねぇ、だから帰る。お前も屯所に帰れ」

「は…?
お前から誘ってきたくせに何言ってんだよ」

「…だから、お前の顔見たくねぇんだよバカヤロー!」


くるりと方向転換して帰ろうとしたら、土方に腕を掴まれた。キッと睨み付けてやれば、明らかに不機嫌そうな顔してやがる。


「何のつもりだ銀時。
人を振り回しやがって…」

「……もう振り回したりなんかしねぇから安心しろよ。
土方と会わねぇようにすっから」

「はぁ?
何勝手なこと言って…ってオイ待て銀時!!」


土方の手を振り払って、走って帰ってきた。なんだか悲しくなってきて、玄関の前まで着いて、そこに座り込んで柄にもなく泣いちまった。


「っ…土方のバカヤロー…」


こんなに好きなのに、ただ土方と普通の恋人同士みたいに手を繋いで歩きたかっただけなのに…。


「なんでだよ土方ぁ…お前は…俺の事どうも思ってねぇのかよ…」


そーいや…家に居る時も土方の奴すぐに盛ってたな。もしかして…土方にとっては、俺はただの性欲を処理するための器?

もう、何がなんだか分かんねぇ…


「っ…土方…好き…大好き…」


自分の気持ちをどうする事もできなくて、ただぽつりと呟いた。








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