2 いつだったか…コイツの笑った顔を見た時、不覚にも可愛いと思ってしまった。 こんな顔して笑うのかと一瞬にして釘付けになっちまった。 それを本人に言った時の事をまだ覚えてる。 確か銀八は…顔を真っ赤にして全力で否定してきたっけか。 「オイ、何にやけてんの。 変な事考えてんだろ」 「…どうだかな」 「っ…否定しろよ!!」 こういう反応も可愛くて、ついからかいたくなる。 「冗談だ冗談。 俺が銀八に惚れた時の事思い出してた」 「…ば、バッカじゃねーの…」 んな事言ってコイツは、顔を逸らして頭を掻く。 こんな…他愛ない日々を卒業するまでずっと過ごせると思っていたのに…… 「別れよう、土方。 もう終わりだ、この関係…」 あんなこと言われるなんて、誰が予測しただろうか。 冗談で言ってきてると思って、真剣に聞いていなかった。 けど、アイツの顔は真剣そのもので…哀しそうにしていた。 俺はどうして別れるのか理解出来ずに…ただその場で固まった。 色々考えた。 嫌われるような事をしたのか、それとも……他に好きな奴でも出来たのかと。 「…待てよ……なんで…どうしてなんだ!!! いきなり別れようとか言われて承諾出来るわけねぇだろ!!!!」 「俺達の関係はもう終わりなんだよ。 …もう恋人同士じゃねぇ。ただの…教師と生徒になんだ」 「だからなんで…んッ…」 これ以上何も言わないでくれと訴えるかのような、軽く、長い口付け。 「………これで最後のキスだ。 今までありがとな…お前の事、本当に好きだったぜ」 「ざけんなよ……俺は……俺はまだお前の事…!!」 笑っていた。 銀八は必死に笑顔を作っていた。 その顔を見て…俺は何も言えなくなった。 あぁ…もう元には戻れねぇんだな… そう思った。 [*前][次#] |