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いつだったか…コイツの笑った顔を見た時、不覚にも可愛いと思ってしまった。
こんな顔して笑うのかと一瞬にして釘付けになっちまった。


それを本人に言った時の事をまだ覚えてる。

確か銀八は…顔を真っ赤にして全力で否定してきたっけか。


「オイ、何にやけてんの。
変な事考えてんだろ」

「…どうだかな」

「っ…否定しろよ!!」


こういう反応も可愛くて、ついからかいたくなる。

「冗談だ冗談。
俺が銀八に惚れた時の事思い出してた」

「…ば、バッカじゃねーの…」

んな事言ってコイツは、顔を逸らして頭を掻く。

こんな…他愛ない日々を卒業するまでずっと過ごせると思っていたのに……





「別れよう、土方。
もう終わりだ、この関係…」



あんなこと言われるなんて、誰が予測しただろうか。

冗談で言ってきてると思って、真剣に聞いていなかった。
けど、アイツの顔は真剣そのもので…哀しそうにしていた。


俺はどうして別れるのか理解出来ずに…ただその場で固まった。

色々考えた。
嫌われるような事をしたのか、それとも……他に好きな奴でも出来たのかと。


「…待てよ……なんで…どうしてなんだ!!!
いきなり別れようとか言われて承諾出来るわけねぇだろ!!!!」

「俺達の関係はもう終わりなんだよ。
…もう恋人同士じゃねぇ。ただの…教師と生徒になんだ」

「だからなんで…んッ…」


これ以上何も言わないでくれと訴えるかのような、軽く、長い口付け。



「………これで最後のキスだ。
今までありがとな…お前の事、本当に好きだったぜ」


「ざけんなよ……俺は……俺はまだお前の事…!!」



笑っていた。
銀八は必死に笑顔を作っていた。


その顔を見て…俺は何も言えなくなった。


あぁ…もう元には戻れねぇんだな…

そう思った。

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