1 あの頃は…普通に学校に通って、昼休みや放課後にこっそり二人で会っていた。 二人で居る時間は多くはなかったけれど、一緒に居られる時間があるだけで幸せを感じられた。 「よぉ先生、今日は早いんだな」 「ん〜まぁね〜。 4時間目は授業なかったからよ。あと、土方に早く会いたかったから」 なんて言ってにっこり笑う銀八が可愛くて、 「フ…そうかよ」 にやけてしまいそうなのを我慢して隣に座る。 今日は弁当作って来てくれたんだろ?早く食わせろよと催促すると、照れ隠しなのかぶっきらぼうに弁当を渡してくる。 俺がおかずを口へ入れれば明らかに緊張した顔をして見つめてくる銀八。 「………美味いぜ」 一言、そう言うと嬉しそうに笑う。 その顔で素直に嬉しいと言えば可愛げがあるってもんなのに…出てくる言葉は、 「……ったりめーだろ。 この俺が作ったんだからな」 …まったく可愛げのねぇ言葉。 まぁ、コイツが素直に気持ちを伝えるなんて事はしねぇのは、分かってる事なんだが。 …もちろん、最初から分かってたわけじゃねぇ。 最初は…こんな関係になるとは思いもしなかった。 やる気のないただのダメ教師としか見ていなかったんだ。 [次#] |